【ドラゴンのエッセイ】2人きり 

 突然だが、俺はよく誤解される。
 Nさんをはじめとする友人たちと会おうという話になる時、「できれば2人きりがいいな」という趣旨の発言をするからだ。俺と仲良くしてくれる方の大半が女子だからというのも大きいだろう。要するに「下心満載じゃねーか」というツッコミがくるわけだ。
 最初に言っておくが、誰かと2人きりで会いたいのは決して下心が理由ではない。もっと言えば、男女関係なく友だちと会うのは2人きりがいい。少なくとも最初の数回は。
 今回は、これ以上フォロワーさんからの誤解を受けないためにも「2人きり」というテーマで書こうと思う。


大勢が苦手

 そもそも大勢での遊びが苦手だ。気心知れた人たちであっても、3人以上になると途端に話せなくなってしまう。挙げ句の果てに会に参加したメンバーから「気を遣わせてごめん」と謝られる始末だ。元来考えすぎてしまう性格なので、誰かの視線や自分の見え方というのがどうも気になってしまうのだ。それなら2人きりの方が、緊張は倍増するけれどまだ話せる。
 それに俺の場合、誰かと共通の友人というのが一切いない。ということは「私の友だちと3人で会わない?」という流れになると、1人全く面識のない人と会わなければいけなくなる。これが仮にフォロワーさんとの初対面の瞬間だった場合、初めましての人が2人。対人恐怖症が結構なレベルの俺にとって、これはかなりのハードルだ。ましてその第三者が友人の恋人だったりしたら、もうどうしようもなくなってしまう。

対人恐怖症

 例えば顔を合わせて話す相手がフォロワーさんだったら、初対面の緊張感はあるがそれだけで済む。フォロワーさんには俺が身体障がい者で車いすを使っているということを明かした上で友好関係が築けているからだ。フォロワーさんは、身体障がい者である俺を差別しない。だから友人でいられるのだ。
 しかし、これがフォロワーさん以外の人となると(その人がフォロワーさんの友人だったとしても)話が変わってくる。
 俺は基本、自分の友人が信じた人間のことは自分も信じたいと思っている。しかし、世の中そう甘くないということも短い人生ながら経験してきた。障がい者というのは差別されたり、煙たがられたりするのが当たり前の日常だということを嫌というほど思い知らされた。だから俺はプライベートでは自分の友人以外、極力他人を近づけたくない。

 これだけだと薄情者と思われかねないので、ひとつエピソードを。
 ある日、クラスメイトとデパートに出かけた。お互いの親と4人での予定だったが、俺がお願いしてクラスメイトの双子のお姉さんも一緒に出かけることになった。彼からは「お姉ちゃんもドラゴンくんに会ってみたいって!」というようなメッセージが来ていて、とても嬉しかった。
 ところが当日、フードコートに着いて親が注文のため席を離れている時事件は起こった。
 お姉さんが俺の話に全く反応しないのである。弟であるクラスメイトも驚いていた。「機嫌でも悪いのか?」と思っていると「話しかけないで」と一蹴された。
 後日弟から聞いた話だが、お姉さんは障がい者とは極力関わりたくなかったらしい。母親が、弟の同級生だから挨拶くらいはした方がいいと彼女を説得したらしいのだ。
「自分の弟が障がい者なのに?」と思ったが、弟も同じ感想だったらしく2人で落ち込んだ。
 家族でさえそうなんだから、他人はもっとだろうな、と思った瞬間である。

親のいない環境

 俺は基本ずっと家にいる。そして家には基本ずっと親がいる。日常生活を送る上で誰かの介助が必須なので、親がずっと一緒にいてくれないと生活が成り立たない。
 これは外出先でも同じことが言える。母の介助がなければそもそも外出することが不可能だ。
 しかし、読者のみなさんも自分の身に置き換えて考えてみてほしい。友人と会う場に親がついてきたらどう思うだろうか? いくらこちらの事情を理解しているとはいっても、、やはり若干の気まずさはあるんじゃないだろうか? 少なくとも俺は気まずい。
 そこら辺のことは母も理解してくれていて、なんとかして送迎時以外は相手に親の影を感じさせないように策を考えてくれている。毎週続けている「自分だけでお手洗いに行ける練習」は半分は就労支援施設に通うためだが、もう半分は外出時に1人になっても大丈夫にするためである。
 別に親の存在がウザいとか、1秒でも長く離れていたいとかいうことではない。ただ、24時間365日ずっと一緒にいたらおそらくどんな相手でも苦痛ではないだろうか? 俺はもちろんだが、親の方も。
 だから親と離れる時間を少しくらい作りたいのである。こんな俺はわがままなのだろうか?

まとめ

 長々書いてきたが、要はもうそろそろ友人に会いたいという話である。今のところフォロワーさんと直接会うのは厳しそうなので、直接面識のある友人と、直接顔を見て話したいなぁと思っている。
 メッセージでのやり取りをしてくれているフォロワーさんには、この記事を読んでいただき「2人きりで会う」ということのハードルを少しでも下げてくれたら嬉しく思う。

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