【ドラゴンのエッセイ】友人の選び方

 俺には、SNS上で繋がったのではない友人がほぼいない。Nさんともう1人男性がいるくらいだ。SNS上では信頼している人が複数いて、俺は友人には恵まれたと感じている。
 そこで今回のテーマはずばり「俺なりの友人の選び方」である。

 俺が人と付き合う上で大切にしたいことは2つしかない。
 ひとつは、俺の障がいをバカにしたり、変に気を遣ったりしないこと。イメージがつきづらい方は、「障がい」を「趣味」や「推し」に置き換えてくれてもいい。同じにするなと思われるかもしれないが、「自分ではどうしようもないこと」という意味では同じだ。例えば推しのアイドルがいたとして、その人のことをバカにされると腹が立つはずだ。嫌な報道が出たとして、不用意に他人から「大丈夫?」なんて聞かれたくはないだろう。それと同じことである。

 もうひとつは、価値観が違いすぎないこと。同じであることは求めない。これも例えを出そう。
 俺は最近、新しい施設と契約できるかどうかという段階にいる。順調にいけば来月頭から働けるが、向こうから断られてしまう可能性もゼロではない。
 そんな状況から、無事契約できたとしよう。健常者の方には「就労支援施設と契約を結ぶ」ということがどれだけ重大なことかはいまいちピンとこないかもしれない。それでも、俺にとって一大事であるということは理解してほしい。嬉しいことだということは分かってほしい。そして一緒に喜んでほしい。
「就労支援施設でお世話になることが決まったよ!」と報告した時に「ふーん。そうなんだ」という反応をしてくるような人とは友だちにはなれない。せめて「おめでとう」とか「頑張ってね!」くらいはほしい。

 せっかく友人関係について書いたので、先日Nさんと話したことを書いてみなさんの意見を求めたい。
 Nさんは、恋人の友だちや友だちの恋人とは仲良くなれないと言っていた。俺も全く同感だ。どういう態度をすればいいか戸惑ってしまう。
 しかし、直接会ってもいないのにその人のことを嫌いになることはまずない。例えばNさんの彼氏さんにしても俺は全く存じ上げないが「俺が信頼しているNさんが恋人に選んだ人ならきっといい人なはずだ」という考えを持っている。
 ここまでの文を読んで「そんなの当たり前じゃないか」と思った人とは、俺はぜひ友だちになりたい。
 ところがごく稀にとんでもないやつがいるのだ。例えば「なんで障がい者となんて友だちやってんの? 信じられない」とか言うやつが実際にいた。
 確かに俺もNさんに何度か言った記憶がある。「どうして俺なんかと仲良くしてくれるの?」というふうに。その時のNさんの答えは決まって「障がい者かどうかなんて関係ない。私はあなたと仲良くしていたい」というものだった。
 このように仕事、友だち、恋人に至るまですべてを決めるのは本人なのだ。そしていくら友だちであろうとも、その選択を否定する権利はない。もちろん無理をしているとか、恋人から暴力を受けているとかいう場合は、「考えた方がいいと思うよ」くらいのことは言うだろうし、それでも突き進んで相手が傷ついているようなら目を覚まさせるための喧嘩は厭わない。しかし俺は友だちが選択したすべてのことを、最初から全否定はしないようにしている。極端に言えば俺の友だちが友だちや恋人として付き合っている人たちは全員いい人だと思っている。
 それでも友だちの友だちや友だちの恋人と接点を持ちたくない理由は明確にある。「自分にとってもいい人」かは分からないからだ。例えばNさんの友だちは、Nさんにとってはいい人だったり、一緒にいて落ち着く人だったりするだろう。先ほども言ったようにそれを否定する気はない。しかし、俺にとってもそうかは分からない。薄情なようだが、そんな気持ちでNさんの友だちや彼氏さんと会ってしまったら無意識のうちに相手を傷つけるかもしれない。相手の俺に対する印象が悪くなるかも。そして何よりNさんの気持ちは……?という風になってしまう。そういうことを考え続けるくらいなら、ゼロから関係を作った方がいいと考えるわけだ。
 おそらく一定の理解は得られる考え方だと思う。

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