名曲670 「夢の世界を」【合唱曲】

ーー合唱コンクールからは感動を与えてくれたーー

【夢の世界を 【合唱】 歌詞付き】

 さて思い出の合唱三部作もいよいよラスト。この曲が最後の締めになるのだが、私の小・中学生を彩る曲といっても過言ではない。唯一、小中学校で合唱曲として歌った曲なのだ。

 よく覚えているのは中学生の時なので、そちらの思い出を書きたい。この曲は合唱コンクールで、同じ地域にいる別々の学校の代表クラスが大きなホールで一堂に会して歌ったものなのだ。つまり、勝負とは関係なく、みんなで歌いましょうというやつである。それは最後に行われた。

 長らく続いた合唱がすべて終わり、司会の方が「それでは最後に皆さんで『夢の世界を』を歌いましょう」と話した。そう、合唱コンクールのしおりの最後のページにはなぜか「夢の世界を」の歌詞が書かれていたのである。合点がいった。小学生のころに歌ったなーとかみしめ、そしていい曲だったよなあと思い出す。ざっと生徒全員が立ち上がった(推定200~300人くらいだったか)。そして伴奏が流れる。そうそう、このイントロ。

{ほほえみ交わして 語り合い 落ち葉を踏んで歩いたね}

 この出だしの「ほほえみ」が難しい。最初は全員どこかぎこちなかった気がする。

{並木のいちょうを 鮮やかに いつかも夕日がうつしだしたね}

 「うつしだしたね」のところが全員妙に力強かった。そして

{さあ出かけよう 思いでの溢れる道を駆け抜け さあ語り合おう 素晴らしい僕らの 夢の世界を}

 感動のサビである。それはそれは聞いたことのない、計り知れないような大合唱であった。

 私はなんて素晴らしいのだろうと大いに感動した。ライバルだった全員がひとつの曲を同じ目的で歌いあげる。別に利益や名誉などないのに、全員が一生懸命だった。同じ目的。それは最高のものにしようという一途な心である。

 勉強や受験には一切関係なかった合唱コンクール。中学3年生の当時は無駄にも思えた出来事だった。しかしこうして大人になったいま、受験で学んだことよりも遥かに鮮明に残っているのはこのような出来事である。かけがえのない一生の思い出になった。

 いま小学生、中学生の方がこの記事を見ていたら、ぜひ合唱コンクールを一生懸命頑張ってほしいと思う。その感動は時に仕事や人間関係でつらくなったときにきっと支えてくれるはず。私はいまでもあのサビの合唱を思い出す。そして若かりし頃の一生懸命さを取り戻そうと頑張れるのだ。

       【今日の名歌詞】

さあ出かけよう 思いでの溢れる道を駆け抜け さあ語り合おう 素晴らしい僕らの 夢の世界を



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