名曲368 「Moonlight Serenade」【黒住憲五】

ーー美しすぎるメロディーにほのかな中毒性をまぶしてーー

【kengo kurozumi - moonlight serenade】

 シティポップは本当にいい。90年代がガチャガチャした音楽と例えれば、80年代はサラサラだ。清水を思わせる流暢性のあるメロディー。変な工夫はいらない。70年代はさらにその素材をたくましく育てている印象を受けるので、とんでもない傑作との出会いもある。音楽をさかのぼっていくのは楽しい。人生で一度はやってみることをオススメしたい。

 今回は黒住憲五を紹介。シティポップの仲間できれいな歌声が持ち味だ。アルバムのジャケット(サムネ)にもあるようにサングラスの印象が強い。また、杉山清貴や角松敏生と声質が似ている。でもその微妙な違いを聴き分けて楽しめるとまたステージが上がるんですな。私?まだまだひよっこです。

「Still」のアルバムに収録されているこの曲は、シングル曲ではない。だがシティポップ群の中でも最強クラスの名曲である。1983年に発表されたこの作品、再評価されていまでは世界で聞かれている曲なのだが、当時の音楽がいかに評価されていなかったか。

 さて例によって歌詞を書きたいのだが……なんと調べても出てこなかった。おいおいと。黒住憲五ってそんなマイナーな存在だったっけと。そういえば同世代はおろか、50代の複数人に聞いてもすぐ出てこない人もいた。

 やはりヒット曲があるかどうかは、その時代のインパクトと同時に、後世に伝わりにくいという点で非常に大きな意味を持つ。私もこの曲は知っていても、ほかのシングル曲は何かと問われたら口をつぐんでしまう。

 だからこそ。

{夜は夜は夜は恋心}

 恐らくで恐縮だがサビはこう言っている。私の最も好きな箇所だ。夜をあえて連呼させたのがうまい。曲そのもののキャッチーさが備わり、夜をいっそう強く思わせる。ということでこの曲は夜のドライブにぴったり。きれいなメロディーと夜景がめちゃくちゃマッチする。

 どこまでも遠くまで行けそうなきれいなメロディー。人生最後の夜のプレイリストに入れておこうかと思っている。夜は夜は夜は夜は。

       【今日の名歌詞】

どうせいつか終わるはずの この人生だから



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