名曲143 「春 ~spring~」【Hysteric Blue】
ーー春になったらおひさまを浴びて笑い泣こうーー
【Hysteric Blue 春~spring~ (1999.04.30)】
ヒスブルはいろいろと可哀想なバンドの印象が強い。春になる度に思う。なぜこの名曲を生んだのに短命終わらねばならなかったのかと。
ボーカルのTamaは非常に声質がよく、いかにも90年代を思わせる、爽やかでほんの少しキンとしたところがいい。耳障りのよさがある。最近顔を忘れていて上記の動画で見返してみたのだが普通にかわいかった。
ドラムのたくやも素晴らしい。「春 ~spring~」の作詞作曲を担当している。前半のほんのりとした切なさ、サビ前の青春を感じさせる盛り上がり、大はしゃぎしたくなるサビ。どれを取っても最高峰の出来である。これは大げさではない。
当時の10代はかなり刺さったのではないだろうか。特に女子中高生。この曲はいま出してもミリオンヒットしていたのではないかと思うほど、不変の価値がある。
{あぁ 同じ視点で見ている世界が あぁ 二人ビミョウにズレてた}
いい描写である。ビミョウをカタカナにしているのも細かい。ターゲットがよくわかる。
{遠く 見つめ ポツリ 「じゃあね」 今は 同じ おひさまの下 目を覚ます}
「おひさまの下」のところでガーッと盛り上がったあとに「目を覚ます」のである。ああーもう!
{こういう夢ならもう一度逢いたい 春が来るたびあなたに逢える そういう気持ちで チクリと心が痛む}
悲しみを紛らわせるようながむしゃらな感じのメロディーに、切ない歌詞を添える。サビの終わり方もまたいい。ポツリとつぶやく「痛む」。この演出も秀逸だ。
{授業よりも 食事よりも もっと大切なコト「私…歌が好き…」}
青春を感じさせる瑞々しいフレーズ。だが「…」の表現が意味深に思える。『あなたのことが』と言いかけてとっさに歌にしたのではないかと考えるのは深堀りしすぎだろうか。
{雪がやんで 寒さも消え 今年もあの季節が来る あぁ春が来る}
{こういう夢ならもう一度逢いたい 別れの季節も好きになれる いっぱい話した思い出がひらり いつでもよみがえらせれる}
そう、この曲は別れの曲。なのにどこか前向きな気持ちにさせてくれるのは最後のおかげもあるだろう。
{こういう夢だしもう一度懸けたい いつか…}
きっと彼女は桜並木を駆け出していったはず。ストーリーがビシッとまとまった。ヒスブルはもっと評価されてほしいのだが、しにくい存在になってしまった。悲しいものである。ギターを蹴っ飛ばして「あぁ」と叫んでみたい。
【今日の名歌詞】
こういう夢ならもう一度逢いたい 春が来るたびあなたに逢える
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