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名曲35 「月灯りふんわり落ちてくる夜」【小川七生】[クレヨンしんちゃん]

ーー満場一致、クレヨンしんちゃん史上最高傑作のエンディングテーマーー

クレヨンしんちゃんは実はかなりオープニング、エンディング曲が多い。同じ金曜日の夜に放送していたドラえもんと比べると歴史が浅いのだが、ころころと変わっている分、曲数はクレヨンしんちゃんのほうが上である。

この曲もそのころころと変わっていたうちのひとつのエンディング曲なのだが、実は伝説的なポジションに属する。

その神髄は当時のエンディング映像も含めてもあるだろう。思わず動画を貼ってしまった。評価が非常に高い。というより未だにこれを超えるエンディング映像はない。1分ほどなのでじっくり5回、いや10回は見てほしい。最高にハートフルで、胸が締め付けられる。

疲れているひろしを駅まで迎えにいくみさえ、しんのすけ、ひまわり、シロ。ああ、なんていい家族なのだろう。理想の家族とはこういうものなのかもしれない。

と、映像ばかりに目を向けがちだが、それはこの幻想的に仕上がっている曲のおかげでもあるのだ。小川七生のちょっぴりギャルっぽい感じの伸びやかな歌声がいい。カヒミ・カリィをちょっと濃くして椎名林檎を薄めたような存在である。

{月灯りふんわり落ちてくる夜は 貴方と2人きり 海のはてへと続く月の路 歩きたい}

歌詞もまたいい。月灯りふんわり落ちてくる夜という長いフレーズをうまく曲のサビにまとめたのはエクセレント。作詞作曲が同一人物なので納得ではあるが、とても素晴らしいフレーズだと思う。おそらく、タイトルのフレーズをどう曲にしていくかで悩んでいたのではないだろうか。

この曲は98年に発表された。当時5歳だった子がもう27歳になっている。そろそろしんのすけからひろしへと立場が変わっていく時期だ。時の流れは残酷である。

そんなときに振り返ってみて、この曲を聞いてほしい。そしてあのエンディング映像を見てほしい。あのころは当たり前に見えた家族たちの姿の難しさを実感するのではないか。ふんわりと涙が落ちてくる。

【今日の名歌詞】

月灯りふんわり落ちてくる夜は 貴方と2人きり 海のはてへと続く月の路 歩きたい


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