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名曲31 「ぼくたちの失敗」【森田童子】

ーー音楽で恐怖を覚えたのはこの曲が初めて。もう二度と味わえないだろうーー

【ぼくたちの失敗】

薄気味悪い女性の顔が映る↑のサムネ見ただけでもわかるが、この曲は不気味だ。

この曲と出会ったのは確かテレビのワンシーンでBGMとして流れていたのだと思う。当時小学生だった私にとってはなんだか恐怖を覚えた。母にこの曲について怖いと話すと、母はちょっと納得したような感じだった。それだけのことだったが私の頭の片隅に残った。

時が流れて私が高校生のころである。YOUTUBEでいろいろと過去の名曲を探っていたときに偶然再会を果たしたのだった。タイトルも歌っている人の名もこの時に知ったのだが「は~るの~」という歌いだしは未だに強烈なインパクトとして残っていたようである。あの怖かった曲だったかと。

歌詞もなんだか不気味。「見つけたヨ」「ぼくを忘れたカナ」「弱虫だったんだヨネ」なぜかカタカナなのだ。変な古臭さが妙に怖さを増している。

この曲は1976年に発表されたのだが、日の目を浴びたのはそこから17年後のことである。1993年に『高校教師』というドラマで主題歌に起用された。そこでリバイバルヒットを記録する。どうも90年代の曲調ではないと思っていたのだが合点がいった。歌詞の古臭さもまた70年代特有のものであった。

インパクトという点ではかなりのものである。思わず私は森田童子について、また『高校教師』というドラマについて調べてしまった。するとなんだか妙にしっくりとくるのである。この悲し気なメロディー、寒気のするような消えいってしまいそうな歌声。

歌詞も具体性をなくしていて、見る人聴く人の想像に任せているようである。それは『高校教師』のラストシーンもそうであった。不意に悲しくなったときにではなく、ずいぶん調子がよくなってしまったときにこの曲に立ち返って思いを馳せてみたい。小学生、高校生、社会人になってこの曲の印象がぐるぐると変わってきている。

またこの曲の真理に近づけるには幾年の歳月が必要だろうか。タイムカプセルの意味も込めてまた追求していきたい。それこそ17年後に。

【今日の名歌詞】

地下のジャズ喫茶 変れないぼくたちがいた 悪い夢のように 時がなぜてゆく

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