名曲655 「鎌倉物語」【サザンオールスターズ】

ーーなぜか鎌倉時代に思いをはせるーー

【「 鎌倉物語」 サザンオールスターズ】

 夏といったらサザン。わかる。ただ、桑田佳祐だけがサザンと思ってはいけない。今回は原坊こと原由子が主役の名曲を紹介する。

 「鎌倉物語」はサザンオールスターズの知る人ぞ知るアルバム「KAMAKURA」に収録されている。これはどういう意味で有名かというと、もちろん名作というのもあるのだが、やはり「吉田拓郎の唄」のインパクトである。興味のある方はぜひ。今回はちょっと本線とずれるので割愛。

{鎌倉よ何故夢のような虹を遠ざける 誰の心も悲しみで闇に溶けてゆく 砂にまみれた夏の日は言葉もいらない 日影茶屋ではお互いに声をひそめてた}

 イントロが非常にみずみずしい。それでいて古風。古き良き日本のわびさびが感じられるではないか。そして原由子の声がまた絶妙だ。それはどこか鎌倉時代、もっと遡って平安時代をも思わせる。

{空の青さに涙がこみあげる こらえきれず 腕をからめ 少女の頃に彼と出会ってたら 泣き顔さえ 真夏の夢}

 余韻の残る歌詞でサビに続いていく。

{秘密にならない 二人の秘め事 他人の空似が乾いたマニュキュア映して}

{鎌倉よ何故 夢のような虹を遠ざける 誰の心も悲しみで闇に溶けてゆく}

 きっちりとまとめるこれしかないような完成度。たまらない。作詞作曲はやはり桑田佳祐なのだが、自身が歌うよりもいっそう魅力を増す。それが原由子の歌声だ。

 最後の大サビまでの少し長めの間奏。これも透き通るような夏を連想させる。思わず深呼吸してしまいたくなる。

{いつも私は大人になれなくて 踊る胸に浮気な癖 彼にもう一度くちづけされたなら 涙声さえならないでしょう}

{泣かないつもりが笑顔になれない あの日の思い出 溢れる江の電見つめて 砂にまみれた夏の日は言葉もいらない 日影茶屋ではお互いに声をひそめてた}

 この曲はひとつのまとまった完成形としてもっと評価されるべきである。原由子の後世に残る名曲といえよう。

 それにしても上記の動画は本当に歌っているのか怪しいくらいの歌声である。口パク説を唱えたいが、まあ私はシングルに沿った歌声が好きなのでよし。かたいことは言わずにすーっと気持ちよく過ごそう。鎌倉行ってみたいけど、まだまだ憚られるなあ。

       【今日の名歌詞】

いつも私は大人になれなくて 踊る胸に浮気な癖 彼にもう一度くちづけされたなら 涙声さえならないでしょう 泣かないつもりが笑顔になれない あの日の思い出 溢れる江の電見つめて

 


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