(音楽話)80: Elton John “Tiny Dancer” (1971)
【郷愁】
Elton John “Tiny Dancer” (1971)
ご存知、Sir Elton John。日本ではBilly Joelと共に「2大ピアノマン」として、70年代以降聴かれまくってきた人。Billyが”Piano Man”ならEltonは”Rocket Man”、”Honesty”なら”Your Song”、”New York State of Mind”なら”Candle in the Wind”…て感じでしょうか、なんとなく。
1947年英国ロンドン生まれ。幼少期にLittle RichardとJerry Lee Lewisに憧れてピアノに触れると、クラシックの難曲を早々に耳コピで弾いていたらしい(恐ろしい子!)。8歳で本格的にピアノを習い始め、15歳の頃パブでピアニストとして演奏を始めました。
67年にレコード会社の新人募集広告に応募すると、そこで同じく応募していた作詞家Bernie Taupinと出会います。これが、後に数々のヒット曲を生み出す「作曲Elton・作詞Bernie」黄金コンビの始まりでした。
68年から曲制作チームとして幾つかの楽曲を作りつつ、Eltonは69年にアルバム「Empty Sky」でデビューするもあまり売れませんでした。しかし、70年のシングル”Your Song/僕の歌は君の歌”とその収録アルバム「Elton John/僕の歌は君の歌」がヒット、グラミー賞にノミネートされ、一気に知名度が上がりました。
ところがどっこい、ヒット曲が続かない。暗い曲調や歌詞の楽曲が多くて地味だったせいもあるかもしれません。彼が再び注目されたのは「Honky Château/ホンキー・シャトー」(1972)と”Rocket Man/ロケット・マン”でした。この頃からサウンドが明るくポップな路線となり、その後立て続けにヒット曲・アルバムを生み出していきます。
”Tiny Dancer/可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)”のリリースは71年。つまり彼が本格的に売れる前夜の曲。アルバム「Madman Across the Water/マッドマン」(1971)収録で、全体的に寂しさや虚しさが漂いますが、そのメロディやストリングスが大変美しく、後年再評価されています。ちなみに邦題にある「マキシン」とはBernieの当時の奥様Maxineのこと。奥様に捧げられた歌詞といわれていたための邦題です(Bernie本人は否定してますが、奥様もまたダンサーだったんだそう。逃れようが無い笑)。
この歌が脚光を浴びたのは2000年。映画「あの頃ペニーレインと/Almost Famous」の挿入歌に使われたためでした。監督Cameron Croweは73年、若干16歳で雑誌Rolling Stoneのライターになり、様々なミュージシャンの取材をした経験を持っています。だからこの映画、彼の自伝的側面を持っているというのは有名な話。”Tiny Dancer”は彼の青春を彩った音楽のひとつ、ということなんでしょうね。
このPVは2017年に新たに作られたもの。70年代当時の、それぞれで生きていた人たちの青春や日々の切り取りを、あえて現代の米国の姿を背景に見せることで、「あの頃」を郷愁と感慨と共に描いています。恐らく多くの50−60代米国人が懐かしいと思う「あの頃」。
皆様の「あの頃」にはどんな音楽が寄り添ってましたか?
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ジーンズ姿の君、LAの女の子
バンドの衣装担当をしてる
可愛い目をして、悪戯な微笑
ミュージシャンと結婚するんだろうな
バレリーナ、会ったことあるだろ?
砂浜で踊ってたあの娘さ
今彼女は僕と一緒だよ、いつだってね
僕の腕の中にいる可愛いダンサーさ
熱心なキリスト教徒が通りで
神に会えるっていう切符を配ってる
振り返って彼女は笑う
大通りはそう悪いとこじゃないね、だってさ
ピアニストはステージに立つ
あの公会堂でね
見てごらん、彼女が歌ってる
知ってる歌を口ずさんでるんだ
[++]
でもどうやっても現実を感じちゃうんだ
側に誰もいないのに、こう横になってると
君だけなんだよ、僕の話を聞いてくれるのは
僕が話す時にさ 優しくゆっくりと
[+++ (x2)]
もっと抱きしめておくれ、可愛いダンサー
ハイウェイでヘッドライトを数えて
リネンのシーツに横たわっていたい
色々あったのね今日は、って言っておくれ
[+repeat]
[++repeat]
[+++repeat]
(Elton John “Tiny Dancer” 意訳)
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