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(音楽話)81: Gladys Knight & the Pips “Neither One of Us (Wants to Be the First to Say Goodbye)” (1973)

【それでもやっぱり】

Gladys Knight & the Pips “Neither One of Us (Wants to Be the First to Say Goodbye)” (1973)

映像は1973年、米国NBCの人気音楽番組「Burt Sugarman’s The Midnight Special」。ディスコ・ブーム前夜、ブラック・コンテンポラリーやソウルといった音楽が多く流れた番組です。The Bee Geesの3人に呼び込まれて登場したのは、飛ぶ鳥落とす勢いだったGladys Knight & the Pips。オールドスタイルなコーラス・グループのフォーマットをバックに、ヴォーカルGladys Knightが煌びやかな衣装を纏っての”Neither One of Us”、熱唱です。

Gladysは44年米国ジョージア州アトランタ生まれ。幼くして教会の聖歌隊で歌い始め、8歳の時にとあるアマチュア大会で優勝。兄弟従兄弟とPipsというグループを結成し、57年にレコード契約してデビューします。66年にモータウン・レコードに移籍するとDiana Ross and the Supremesのツアー前座を担って人気となり、いくつかのヒット曲を経て”Neither One of Us”でついにグラミーを受賞します(1972)。
しかし前述のツアー前座は、モータウン(Dianaの取り巻き達)の中で妙な問題となります。なんと、前座での圧倒的なパフォーマンスに観客が大喝采となり、その後のDiana達が霞んだじゃないか!というイチャモンなパワハラ…嫌気が差した彼らは73年にモータウンを離れるも、彼らの勢いは止まらず再びのグラミー受賞曲”Midnight Train to Georgia”(73)、全米4位になった”I’ve Got to Use My Imagination”(73)、同3位”Best Thing That Ever Happened to Me”(74)など、特に73-74年にヒット曲を連発します。その後Gladysが女優に挑戦するなど多忙な日々を送りますが、やがてグループの契約問題やGladysの法廷闘争(息子の養育権を巡る裁判)が噴出し苦労しました。
80年代になって再びグループとしての活動、Gladysのソロなどが目立ち始め、GladysがDionne Warwick、Stevie Wonder、Elton Johnと共に歌った”That’s What Friends Are For/愛のハーモニー”は大ヒット(85)。89年には映画「License to Kill/007 消されたライセンス」の主題歌”License to Kill”もヒットしました。
90年代以降はマイペースな活動にシフトするも彼女は今も現役。たまにTV番組に突然出演して歌ったりして、その都度米国では話題になるようです。

“Neither One of Us”。うまくいってない二人が別れを考えるも、互いを愛してる気持ちがそうさせない/したくないもどかしさ。だから「色々大変だしお互いがお互いを困らせたりするけど、それを超えてやっぱりあなたを愛してる」という気持ち。Gladysの掠れた、でもまろやかで慈しみのある声が愛の言葉を唱えていくー良いですねぇ。ブラス・セクションを交えた生演奏のグルーヴ感。隙間がある音たちだからこそ、その余韻に酔いしれます。

どうぞ、じっくり、お召し上がりください。良い週末を。

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考えてみると 悲しいわ
私たち うまくいかないみたい
いくとこまで いっちゃったわね
誤魔化すことが できないところまで
どうしようもない このままにはしておけないもの
ねぇきっと 私たちのどちらも(僕らのどちらも)
別れの言葉を 切り出したくないってことよね?

ずっと考え込んでるわ
あなた無しで 何ができるのかしらって
多分そうだと 思うんだけど
あなたもきっと 同じことで悩んでるわね
だからずっと、ずっと一緒にいればいいじゃない?
嘘をつきながら 生きてくのもいいわ
だって私たちはお互いに
別れの言葉を 切り出したくないんだもの

毎度のことよ 勇気を出して
勇気を出して 別れると言おうとする度に
思い出が、これまでの思い出が私の邪魔をする
神様はきっと お見通しなのね
あの方は知ってる 私が自分を欺こうとしてるって
さようならを言おうって時になって
シンプルな言葉なのに どうしても言えない

他に方法はないわ、なす術なんてない
私たちはハッピーエンドに なれるはずだもの
だから傷つけあったり 惚けてみたりして
お互いを確かめ合ってる もう一度だけやってみようって
だって…
私たちはどちらも(僕らは両方)
別れを切り出したくないんだから
私たちはどちらも(僕らは両方)
別れを切り出したくないんだもの
私たちはどちらも(僕らは両方)
別れを切り出したくないのよ

愛しいあなたに、さようなら、だなんて…

(Gladys Knight & the Pips “Neither One of Us (Wants to Be the First to Say Goodbye)” 意訳)

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