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【音楽話】59: Julie London “Evenin’”(1961)


【夜の帳】

Julie London “Evenin’” (1961)

これまでも定期的にジャズのシンガーをご紹介してきましたが、今回はJulie Londonを。

1926年米国カリフォルニア州生まれ。44年に映画女優としてデビューするも、当時の情勢=第二次世界大戦真っ只中。時代的にも作品にもあまり恵まれませんでした。その後結婚ー引退ー出産ー離婚を経て53年に芸能復帰し、今度はシンガーとしてキャリアを積んでいきます。
55年にアルバム・デビューし、シングル”Cry Me a River”が大ヒット。そして俳優としても人気を博し一躍スターになります。歌手活動はスタンダード・ナンバーを中心に歌う形でマイペースに行い、どちらかというと俳優業の方に力を入れていたようですが、95年に脳卒中で倒れてからは事実上の引退状態となりました。2000年に心臓発作で逝去。74歳でした。

彼女の特徴はなんといってもそのハスキー・ヴォイス。「Smoky Voice」といわれていたそうですが、セクシーなハスキー声ですよね。その美貌でその声というズルさは真似できない魅力です。”Don’t Worry about Me””You’d Be so Nice to Come Home to””Fly Me to the Moon”など多くのスタンダート・ナンバーは、彼女の声になるととても艶やかに鳴ります、ちょっとドキドキするくらいに。

Evenin’”は61年、シングルのカップリングとして発表された楽曲で彼女のオリジナル作品です。3分弱という短い演奏時間を忘れさせる、とても濃厚で艶やかな世界観に噎せる、隠れた名曲だと私は思います。
深いエコーとオルガンの底鳴り、ギターの味つけ、ミュートのトランペット、軽いリフを奏でるサックス、そして大切なコーラスの浮世感ーーージャズ・ヴォーカルの名曲”Fever”の世界観に似ていなくもない(ちなみにPeggy Leeが”Fever”を歌ったのは56年)。歌詞は失恋がテーマですが、悲哀よりはヤサグレ感が強い気がします。「チッ、あのオトコ行っちゃったわ、やってらんない」という感情を「Evening/夕暮れ・夜」に八つ当たりしている、みたいな。

私は今、日々の違和感に悪態つきたいところですが、この歌に代わりについてもらいます笑 良い週末を。

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夕暮れ
毎晩やってきては 私を見つけだす
いつだって私に 思い出させる
あの人は 行ってしまったってことを

あぁ夕暮れ
私が闇の底にいるって わからないの?
時が経つのが 長く感じてしまう
だってあの人は 行ってしまったから

(+)
影が壁に 降りてくると
大概あの人のキスを 思い出してしまう
泣いてしまうけど 一体どうすればいいっていうの?

夕暮れ
眠らせてよ 夜が明けてしまう
起きるかどうかなんて どうでもいいわ
だってあの人は 行ってしまったんだから

(夕暮れ)
毎晩やってきては 私を(見つけだす)
いつだって私に(思い出させる)
あの人は 行ってしまったってことを

(夕暮れ)
わからないの? 私が(闇の底にいるって)
時が経つのが(長く感じてしまう)
だってあの人は 行ってしまったから(行ってしまった)

(+repeat)

夕暮れ
眠らせてよ 夜が明けてしまう
起きるかどうかなんて どうでもいいわ
だってあの人は 行ってしまったんだから…

(Julie London “Evenin’” 意訳)

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