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(音楽話)77: Jefferson Airplane “Somebody to Love” (1969)

【複雑】

Jefferson Airplane “Somebody to Love” (1969)

かなり複雑な経路を辿ってきたバンド、Jefferson Airplane。メンバーの入れ替わりの激しさと分裂、それに伴う名義変更、なにより時代によって全く異なる音楽性を持ったバンドです。
はーい、では歴史の授業です。試験出ますよー。

1965年、「Jefferson Airplane」デビュー
ヒッピー文化の象徴的バンドとして大人気に

73年、解散
74年、一部メンバーで「Jefferson Starship」結成
ロックバンドとして一時代を築く

84年、「Starship」と「KBC BAND」に分裂
Starshipはヒット曲量産体制で大売れ
KBCはライヴバンドとして活動

89年、KBCが「Jefferson Airplane」に名義変更
90年、Starshipが解散
→Starship組の一部が新生JAに加わって全盛期メンバーほぼ集結

程なくして活動停止(各々の活動でバラバラに)

92年、「Jefferson Starship-The Next Generation」結成
→ライヴの形態によって2つのタイプが誕生
・フル編成の「Jefferson Starship-The Next Generation
・アコースティック編成の「Jefferson Starship-Acoustic Explorer

一応現在に至る

「ジェファーソンの飛行機」が「ジェファーソンの宇宙船」になって、ただの「宇宙船」になり、最後には「ジェファーソンの飛行機」が帰還した、と…なんのことやらさっぱり、ですよね笑

今回ご紹介する”Somebody to Love/あなただけを”を歌っているのは「Jefferson Airplane」。ヒッピー文化に象徴されるカウンター・カルチャーの申し子、米国西海岸を代表するバンドのひとつとして特に60年代末に崇められました。

70年代の「Jefferson Starship」は”Miracles””Count on Me”などが代表曲。ウェストコースト・サウンドとも、イーストエンド・サウンドとも違う、ちょっと小洒落た音を鳴らしていました(サックスなんかもバリバリ鳴ってます)。

80年代、日本人もすごーくよく知ってる曲”We Built This City/シスコはロックシティ””Sara/セーラ””Nothing’s Gonna Stop Us Now/愛はとまらない”を歌ったのは「Starship」。産業ロックと揶揄された、企画やタイアップありきで作られた「売れるロック」を主眼とした典型的80年代サウンドでしたが、とにかくメロディが強烈にキャッチーでした。カラオケで歌う人も多いのでは?(私も稀に歌います笑)。
KBC Band」もまた80年代サウンド満載ですが、Starshipよりは骨太。スケール感ある楽曲が多く、”America””It’s Not You, It’s Not Me”などが代表曲。

要はJefferson Airplaneをキッカケに、時代の変遷と共にバンド形態が変化していったわけです。メンバー的にはほぼ同じだったりもしますがサウンドはかなり異なっていて、同じバンドという考えは持たない方がいい。でも、当の本人たちが、インタビューとかでは昔の話を出されると嫌がるくせに、ライヴで古今東西のヒット曲をバシバシ演ったりするから、話がややこしくなるんですけどね…笑

”Somebody to Love”は68年の大ヒット曲。ヴォーカルGrace SlickがJA加入前に組んでたバンドThe Great Society時代に作った曲で、67年JA加入時に持ち込んだものでした。彼らのヒッピー感覚が如実に出ていて、少し目の焦点が合っていないような、ユートピア思想すら感じます、表面的には。

しかしよく考えてみてください。当時ベトナム戦争(65〜75年)は激化の一途を辿っていてお先真っ暗、そこに駆り出される米国兵士たちの精神破綻は悲惨なものでした。だから米国の若者たちは戦争に反対したり、戦争に背を向けヒッピーに没頭したりしていた。そうでもしなければ、確かに生きられる保証がどこにもなかったのです。
それらを踏まえてこの歌の歌詞を眺めると、戦争という地獄でイカれてしまうんじゃなくて誰かを愛そうよ、真実を嘘に侵食されないように目を覚まして誰かを愛そうよ、と訴えているように思えます。

この映像は69年に開催された伝説野外フェスWoodstock Festivalでのライヴ。8月17日朝の演奏です。イントロだけで昇天できるカッコよさ。テンションの高さ、濃密な音濃度、Graceの響き渡るヴィブラートの効いたロック声とカリスマ性溢れるステージングーーー「誰かを愛さなきゃ」と歌う彼らを、当時の時代背景を踏まえて、大勢の観客のひとりになった気持ちでご覧ください。この歌の想いが沁み入ってくるかもしれません。

今週も楽しい日々でありますように。

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真実が 嘘まみれになってしまったら
全ての歓喜は 死に絶えてしまうわ

[+]
ほしくない? 愛する誰かを
必要じゃない? 愛する誰かが
求めてないの? 愛する誰かを
見つけた方がいいわよ 愛する誰かを

庭の花が咲き誇る その一方で
赤ちゃんが死んでいく、そうなのよ
みんな精神が、精神が真っ赤にイカれていく

[+repeat]

あなたの目、そう、あなたの目は神様みたいね
でもあなたの頭ん中は、そうよ
ちょっと心配よ 何処にあるか分かってる?

[+repeat]

涙が流れていくわ
奥へ奥へと あなたの胸に
まわりの友達は みんな
あなたをまるで ゲストみたいに扱うのよ

[+repeat]

(Jefferson Airplane “Somebody to Love” 意訳)

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