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(音楽話)45: Bee Gees “Too Much Heaven” (1979)

【愛】

Bee Gees “Too Much Heaven” (1979)

てっきり英国だと思ってましたが、デビューはオーストラリア。グレートブリテン島とアイルランド島の間に浮かぶマン島(イギリス領)の生まれで、幼少期に親の仕事の都合でオーストラリアに移住、現地のラジオ番組で「Bee Gees」と名付けられた彼ら。Barry Gibbが一番上の兄でファルセット・ヴォイス(長髪ブロンド髭モジャ。立ち位置だいたい真ん中)、RobinMauriceが双子。Robinは透明感ある声(長髪ヒョロい。立ち位置だいたい左)、Mauriceはコーラスの要でありバンマス(ちょっと背低い髭モジャ。立ち位置だいたい右)。
1963年にデビューするとすぐにオーストラリアを制覇し、67年に全米デビュー。そこそこ売れたものの兄弟喧嘩等あって空中分解→和解。その後なかなか大きくは売れず悩む日々が続いたものの、75年頃から徐々に盛り上がってきたディスコ・ブームに乗り方向性を転換。すると77年「サタデー・ナイト・フィーバー」で大爆発します。当時のディスコ・サウンドは、ストリングスが入った大掛かりなバック、軽めの歌声でファルセットが入ってるとなお良し、ベースは所々チョッパーで、ギターのピックアップはフロントで軽めのストローク、ドラムスの音出しは抑え目、ピアノの生音がアクセント…等、ムーディで軽めのサウンド志向。彼らの声は、そんなトレンドにハマったのです。
その後80年代も活動しましたがディスコブームが去ると再び沈んでしまい、あまり目立なくなります。しかし彼らの楽曲は、当時青春だった人々の心には確実に強く焼き付いていて、90年代以降、(大抵は原曲ではなくカヴァーですが)そこかしこの映画に使われるケースが増えていきます。再評価というより「たまに無性に聴きたくなる音楽」ーそんな懐かしさと温かさ、ピュアネスが宿っているのが、Bee Gees最大の特徴かもしれません。残念ながら2003年にはMauriceが、12年にはRobinが逝去し、Bee Geesはその活動を終えています。

Too Much Heaven”は、「サタデー・ナイト・フィーバー」で大ブレイクした後に発表した、いわば「大ヒット直後、どうすんのよ?」という耳目が集中してプレッシャーがかかりまくった末に生み出された楽曲です。
彼らの特徴であるヴォーカル・スタイルですが、この曲ではなんと27声も重ねているそうです。もはや誰の声か判別困難ですが、各パートを少なくとも3回ずつ重ねていき、ヴォーカル全体に深みや幅をもたらしています…それにしても手がこんでますね。サウンドは米国シカゴのブラス・セクションが参加、ストリングスも加えられてムーディな雰囲気。明らかに米国を意識したスケール感の大きなものになっています。

歌詞はとっても甘々。しかし額面通りに受け取れない部分もあります。というのはこの曲、ユニセフとのタイアップ・ソング。つまり、人権問題における現状の厳しさを背景にしていて、「みんな気づこうよ、愛より素晴らしいものはないんだ」と言いつつ、その愛に辿り着くことはとても困難だと歌っています。邦題は「失われた愛の世界」…単に「無上の愛」ではないことがそれを表している気がしますが、皆さんはどう思いますか?

+++++++++

(+)
これ以上の幸せは 誰も手にできないよ
そこに辿り着くって すごく難しいこと
僕は順番を待ってる
これ以上の愛は 誰も持ち得ないさ
まるで聳え立つ あの山のよう
登りきることは そう簡単じゃない

君と僕はね
沢山の愛を 得てきたんだ
それは 君の中を巡り
僕の中へと 巡っていく
心から君のこと 愛してるよ
そして僕の人生はね…
遥か彼方まで 見通せるんだ
だから僕らの全てが 死に絶えることなんてないさ

(*)
愛することって なんて素晴らしいんだろう
君は僕の世界を 真夏のように輝かせてくれる
まさか君は 消えてしまう夢なんかじゃないよね?

(+repeat)

君と僕には
空に架かる ハイウェイがあるんだ
僕らは日毎の 有耶無耶から抜け出せる
君が流してきた 涙からもね
君は僕の全て…
生まれ変わった新たな明日が そこにある
だから僕らの全てが 無くなってしまうことはないよ

愛することは なんて素敵なことだろう
君が僕の そばにいる時
頭上の光が かけがえのない愛を照らしてくれる

(+repeat)

(*repeat)

これ以上の幸せは 誰も手にできないよ
そこに辿り着くって すごく難しいこと
僕は順番を待ってる
これ以上の愛は 誰も持ち得ないさ
まるで広大な あの川のよう
渡ろうとするなんて そう簡単じゃないんだ

(+repeat)

(Bee Gees “Too Much Heaven” 意訳)

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