音楽療法士とセルフケア Part2
執筆者:細江弥生
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4. 言い訳ではなく可能にする方法を見つけよう
セルフケアとは何か「特別な事」を「たまに」するものではなく、「日常」に焦点をおき、「継続する」ものであると、ご紹介しました。しかしながら、この「継続」がなかなか難しく、特にあまり目に見える変化が現れない時の継続が中々続かず、自然消滅してしまう・・・という方が多いのではないでしょうか。私もその一人でしたので、その難しさには同感します。
続かないとできない自分を責めたり、言い訳を考えるのが私を含め多くの人がしてしまう行動かもしれません。しかし、継続できない時にはそこに何かヒントがあり、対策方法を考えると、意外にあっさり継続できたりするものです。一人ではなかなか客観視できなかったり、対策方法も行き詰まったりしてしまうものですが、そんな時仲間と話し合う機会があると、モチベーションも維持できて継続の力にもなります。
私にとって、セルフケアの講座を継続的に開催し、参加者の方とセルフケアの目標について見直す事が、モチベーションの維持と、自分の「ずれ」を確認する良い機会になっています。「ずれ」には色々あるのですが、例えば「そもそもどうしてこの目標にしたのか」という目的のズレや、「こういう思い込みがあるから気をつけよう」と確認したのに、再びその思い込みに支配されていたり、「頑張りすぎないように」と思っていたのに、振り返ったら頑張りすぎて疲れていたり・・・などなど。姿勢を直す事が難しいように、セルフケア の継続も同じで「外から見てみること」「客観視する事」「時々チェックする事」などが必要になってくると思います。
音楽療法かけはしの会では、週1回オンライン上でセルフケアのチェックを行うミーティングを3年前半から継続開催しています。また、2021年夏からは当会のセルフケア講座受講済みの方を対象に、月一回のオンラインセルフケアミーティングも開始しました。そのほかにも、音楽療法士とセルフケアについて、その本質と具体的な実践方法をセットで学べる講座では、継続をするためのコツや考え方などもシェアしています。
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私達は臨床を行う時、クライエントをアセスメントし目標を立てます。しかし、クライエントが目標を達成できないからといって彼らを責めたりはしません。必要であれば目標を立て直し、方法を変えて継続していくと思います。まずは自分自身にもその方法を使って仲間と一緒に練習してみましょう。
5. 継続のコツをつかもう〜
セルフケアにおける「継続」の大切さをブログにも書きましたが、これがなかなか難しく振り出しに何度も戻る方は私を含め多いのではないでしょうか?
先日、言語学習についてのスピーチを聞いていて、セルフケアとの多くの共通点を感じました。言語学習においても、10年、20年続けてもなかなか上達しない、または挫折を何度も繰り返すという事を経験した方も多いのではないでしょうか?
私は「ポリグロット」という「多言語に通じている人」にとても関心があります。多言語を操る事だけではなく、彼らの好奇心の強さや柔軟性、また継続する力に興味があります。そんな中、自身もポリグロットであり言語学習法を教えているLydia MachovaさんのTed Talksを聞きました。(リンクはこちら。言語設定で日本語字幕を表記できます。)
何カ国語も話すことができるポリグロットの事を「才能があり能力があるからできる事」と、人はよく言うけれど、ポリグロットは自分に合った方法を見つけコツコツ「継続」しているからこそ成果を出しているとLydiaさんは主張しています。
魔法があるわけではない、言語を学ぶためのコツは「楽しみ」「システム」「方法」「辛抱」の4つだと言っています。
●「楽しみ」は自分がその習慣を楽しんで行えるようにする事
●「システム」は習慣が続くような計画を考える事
●「方法」は情報を集め自分に合った方法を見つける事
●「辛抱」は成果が目に見えなるようになるまでは多少辛抱する事
Lydiaさんは、今まで挫折を何度も経験した方が自分に合ったこの4つのコツを掴む事で、いくつもの言語を習得した経験についても話しています。本会のセルフケア講習会実践編ではここに記載している4つだけではなく、様々なコツを沢山紹介しています。セルフケア・ミーティングを数多くファリシテートし、自らも長年セルフケアを継続している講師小沼さんの経験や最新リサーチに基づくコツなど、沢山紹介されるのできっと皆さんに合うコツが見つかると思います。また、本会では、「仲間、ピア」も大切なポイントとして捉えています。実際、定期的に行っているミーティングでは、仲間からのサポートが励ましになり、自分の考え方をシフトしてくれるきっかけにもなっています。
6. To do list (やる事リスト)を作るならNot to do list (やらない事リスト)も作ろう
これまでこのブログ「音楽療法士のセルフケア」では、セルフケアとは対人援助職には必要不可欠であり日常で継続的に行う大切さについてお伝えしてきました。
では、実際にセルフケアを行うとどうなるの?と思われている方も多いかもしれません。セルフケアを行う事は、決して「何かすごくできる人になる」や「いつもきっちりしている人」になる、ということではありません。
私自身セルフケアを継続して感じる変化は、
● 自分の生活や自身の態度について客観視できるようになった(特にイライラや怒りの感情)
●何かハプニングが起こっても冷静に情報や状況を整理整頓し対応できるようになった
●コツコツ実践する大切さや楽しみ、その効果を実感するようになった
●日常生活をなるべく整え、何か起こった時でも冷静に判断できる精神的余裕が少しできた
という、日常の本当に小さな変化です。しかし、その日常こそをどう過ごすかが対人援助職の心構えへ重要な影響を与えていると実感する毎日です。実際、私の生活を見てもできていない事は山ほどありますし、むしろセルフケアをすればするほど「整えたいなあ〜」と思う項目は増える一方です。
しかしここで注意すべきは、セルフケアとは「何かやる事を増やすばかりではない」という事です。セルフケア講座実践の講師でもある当会代表の小沼は、よく講座でも
「To do list (やる事リスト)を作るなら、Not to do list (やらない事リスト)も作ろう」
と言います。
「行動する事」=「何かを足す事」と捉えられがちですが、セルフケアの基本である、まずしっかり自分自身のアセスメントを行うと、反対に何かを「しすぎている」事にも気づきます。やる事リストはサクサク作れるのに、このやらない事リストを作るのが苦手な方は、意外に毎日何かをやり過ぎているかもしれません。
ただ、「やらない事」が本当に優先順位を吟味した結果自分の生活を良くしてくれるのか、ただの言い訳なのかが見極めが難しいところで、そこはやはり客観的視点を入れながら考えてみるのが良いかもしれません。
なかなか一人では継続が難しいセルフケアですが、当会では長期的で継続できるセルフケアのサポートをする機会を設けています。詳細はこちらからご覧いただけます。講座終了後の無料フォローアップや月例ミーティングを利用して、是非セルフケアの継続を習得していただければと思います。
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