歌付き!

クラシック愛好家で,管弦楽曲をよく聞くような人たちは歌付きの曲はどれくらい聞くのだろう.
私はあまりそのような曲を好いてこなかった.ただ,ベートーヴェンの第九はよく聞いていただろうか.

歌がついていている曲はなかなか,上演される機会が少ない.この前の冬はなぜかマーラーの『交響曲第2番』の演奏会を比較的多く見た印象があるが,合唱に加えてアルトとソプラノのソリストを用意しないといけないので準備が大変だ.その上演奏時間も長いので聴衆も疲れる.

しかし,人の声というのは不思議なもので,その音楽に大きな力を与えてくれると感じることがある.例えばボロディン作曲の歌劇『イーゴリ公』の中でも単独でよく演奏される”韃靼人の踊り”はオーケストラだけで演奏されることがほとんどだが,元の歌劇そのままの歌付きで演奏されることもある.

オーケストラのみでも力強くハーンの偉大さを感じることができるが,合唱が付くとそれがパワーアップする.

歌付きの管弦楽曲,交響曲といえば真っ先に挙げられるのがマーラーであろう.その彼の交響曲の中でも最も壮大で荘厳なのは『交響曲第8番』だ.編成は彼の交響曲の中でも最大ではないだろうか.俗に「千人の交響曲」と呼ばれることのあるくらい大きな編成である.巨大なオーケストラから初っ端からこのような音の圧を受けたらたまらないであろう.一気に彼の世界に引き込まれてしまう.

さらに彼の歌付きの曲で忘れてはいけないのは『大地の歌』だろう.中国の詩をもとにしたこの6楽章からなる交響曲,はたまた歌曲集は彼の傑作の一つだ.最終楽章の穏やかな浄化された世界はなかなか他では感じられるものではないだろう.ぜひ,生演奏で聞いてほしい.

今まで歌のついている管弦楽曲を聞いてこなかった方も是非これを機に好きな曲を見つけてほしい.人の声は素晴らしい.

紹介した曲

交響曲第9番第4楽章 ベートヴェン
交響曲第2番第5楽章 マーラー
歌劇『イーゴリ公』より韃靼人の踊り ボロディン
交響曲第8番 マーラー
大地の歌 マーラー

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