見出し画像

手の大きさとピアノレパートリー

 手の大きさは、ピアノ作品のレパートリーに大いに関係する。一般的には手が大きい方が有利とされるけれど、必ずしもそうでない部分もある。華奢な手だからこそ、上手く表現できる作品だってあるのだ。

 ジャズなどは万人が同じように弾く楽譜は存在しないので、クラシックピアノに限って考えてみる。なお手の大きさの基準は、オクターブまでがやっとという場合は手が小さい、10度以上届くという場は手が大きい、という基準。

♪手が小さくても弾ける曲

バッハ 手が大きいと無駄にミスタッチが増え、むしろやり辛い部分がある。音域が狭いので、身体が小さい人にもお勧め。テクニックさえあれば、子供でも弾けてしまう。

古典派全般 特にモーツァルトは音が密集したものが多いので、手が大きいと逆に弾きにくい。音域も狭いので、小柄な人でも弾ける。ベートーヴェンは幅の広い和音が頻繁に出てくるという訳ではないけれど、表現上、手が大きい方が有利かなと思えるソナタもある。

ショパンワルツ、ノクターン、即興曲など ショパンは手が小さくても弾ける曲も多い。本人もそこまで大きな手ではなかったのだとか。

シューマン 曲によるが手の大きさを要求される作品は少ない。

シューベルト 手の大きさを要求される作品は少ない。

メンデルスゾーン 手の大きさを要求される作品は少ない。

ドビュッシー、ラベル こちらも曲によるけれど、小さい手で充分対応できる曲が多くある。

♪手が大きくないと弾けない曲

ラフマニノフ 真っ先に思い浮かぶのがラフマニノフ。10度以上の和音が頻繁に出てくる。本人は12度届く巨大な手の持ち主だったとか。手の小さい人には、楽譜通りの演奏がそもそも不可能。

リスト 曲によるが、手の大きさが有利に働く作品が多い。跳躍も凄まじいから、身体の大きい人は有利。ピアノの機能を目一杯駆使したような作品が多いので、華やかで好まれるけれど、練習のやり方を間違うと手を壊す可能性も。

ショパンエチュード、ポロネーズなど ショパンの作品の中でもこの辺りは手の大きさが要求されるものが多い。有名な英雄ポロネーズは、最低でも9度届く手でないと、手にかかる負担が大き過ぎ、無理に練習すると手を痛める可能性が。

カプースチン 一時大好きで良く弾いていたが、10度を含む和音がかなり登場する。

 そして腕や指の太さも、得意なレパートリーに関係あるように思う。重い手はブラームスなど重めの曲が、軽い手はモーツァルトなどの軽やかな曲が向いているんじゃないかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?