見出し画像

ピアノは50グラムの指筋トレ 無理に練習すれば手を痛めます

 当然のことだけれど、楽器もやり過ぎれば体に支障が出る。スポーツなどと同じ。関節を痛める場合もあれば、筋肉痛、肩凝り、腰痛、眼精疲労等々色々だ。いきなり始めた場合や初心者で無理な姿勢を続けているような場合、1日1時間の練習でもどこかに痛みが出ることがあるし、受験やコンクール等で毎日10時間近く練習し続けて、腱鞘炎になったというのはよく聞く話。

 ピアノの場合、多いのは、やはり手首、肘などの痛みだと思う。背中や首も負担がかかるが、それはストレッチなどマメにすることによって、軽減できる場合が多いと思う。同じ内容を繰り返しても何ともない人もいれば、手を痛めてしまう人もいる。これは手の大きさや骨格、筋力、そもそもの体の条件が違うので、一概に、無駄な力が入っているから手を壊したのだ、とは言えない。

 一般的に、手が小さい人、筋力が弱い人は注意が必要。幅広い和音を連続で弾けば当然、手の緊張状態が続いて疲労する。そしてあまりにも同じ音型を反復練習するのも、手に負担がかかる。出来るまでひたすらやるといった、根性で苦手な部分を繰り返す練習方法は、手にとってかなり酷なやり方だ。

 ピアノの鍵盤ひとつ押すのに必要な重さは、軽いピアノで50グラム、重いもので60グラム以上と言われている。これを10本の指を使って1時間弾いた場合、これはもう、指の筋トレのようなものだ。仕事でピアノを弾く人にとって、1時間なんて何ということはない、朝飯前だ、と感じる人が大部分だと思う。しかし、これを生徒に強要するのは注意。テクニックの習得と並行して練習時間を増やして行った方が手を壊すリスクは少ない。

 長年ピアノを弾いている人は、自分の体に合った、最低限の力で演奏する技術を習得しているので、何時間も弾いていられるのだ。一瞬で身につくものではないし、試行錯誤も必要。何より、手も体格も骨格も一人一人違う。早く上達したいからと言って、練習時間だけ増やせばいいというものでもない。

 せっかく楽器を始めたら、長く楽しんで欲しいなと思う。途中で中断したり、なんとなく遠ざかったりしても、生涯続けられるのが音楽の素敵なところ。ピアノを弾くときは、体を大切に。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?