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夢の職業 プロ生徒

 どんな職業でも創り出せるとしたら、私は「プロ生徒」になりたい。これ以上に自分にとっての天職はないと思う。生涯生徒として生きていくのが「プロ生徒」だ。その熱心さで先生の教えたい欲をくすぐり、好奇心の強さで先生のテクニックを育て、一生学んで暮らすのが仕事。夢のような職業だ。そもそも先生は生徒によって育てられるようなものだから、そんな職業が存在していてもいいはずだ。

 残念ながらそんな生活法が実現できなかったので、いくら学んでもとやかく言われない、教える仕事をしている。一つのことに熟達すると、どうしても初心者の感覚が分からなくなる。だから、自分にとって未知の分野を常に学び続けるのは、初心者の感覚を思い出すために大切だ。

 長年教えてきた経験がある人なら、この生徒を教えたことで自分が飛躍した、と思える生徒が一人くらいいると思う。そんな生徒になる自信がある。記憶力がずば抜けている訳でも、身体能力が抜きん出ている訳でもないけれど、フレキシブルに何でも学ぶ準備がある。これは受け付けられないという分野がないし、何も知らないことなら、ますます好奇心が刺激される。

 だからもし実験的に生徒が欲しい場合、新しい教授法でも、開拓されたばかりの分野でも、何でも生徒として協力したいのだなあ。「プロ生徒」への第一歩だ。

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