見出し画像

永井博の描く「あるようでない景色」の正体

俗に言う「パリピ」とは程遠い私ですが、「リア充」とか「陽キャ」と言われることがたま~にあります。それが褒め言葉だと判断するかどうかは別として、移りゆく短い季節を外に出たり、誰かと過ごしたりしてそれなりに楽しんできたほうだと思います。

それが今年は特に「台風×水害×緊急事態宣言」という大変なコンボによって、史上最高にどこにもお出かけできない夏になりました。

暗いニュースばかりの中、自宅やわが身と家族が無事であるというだけでありがたいのですが、気づけば2年目に突入している自粛疲れ、そして連日の仕事疲れと拭えない閉塞感。

せめて気分だけでも夏を楽しみたいなんて思う、くたびれ気味の37歳。

PinterestやらGoogleの画像検索で「青空」「ビーチ」「南国」とかいうワードを検索しては、脳内現実逃避にいそしんでいました。

そこでふと目にしたあるイラストに、釘付けになったのです。

真っ青な空。凪いだ水面。くっきりとしたコントラスト。

どこかで見たことがあるようで、どこにも実在しないような風景。

永井 博さんという方の作品でした。

永井博(ナガイ・ヒロシ)プロフィール
1947 年12月22日、徳島市生まれ。グラフィックデザイナーを経て、1978年よりフリーのイラストレーターと して活動する。大瀧詠一のアルバム『A LONG VACATION』等のレコード・ジャケットに代表されるトロピカルでクリアな風景や人物のイラストレーションで知られる。
レコード・ジャケットのイラストで独自の地位を築き、これまでにマツオカナオヤ、藤原ヒロシと川辺ヒロシ、憂歌団、杉山清貴など多くのアーティストのジャケットに携わる。『A LONG VACATION/大滝詠一』(1981年)で、「アルバム・ジャケット特別賞」を受賞している。
出版物として「A LONG VACATION」(1979年)、「HALATION」(1981年)、「NIAGARA SONGBOOK」(1982年)などを刊行。2017年7月には『Time goes by... 永井博作品集』を復刊。イラストの世界だけでなく、ソウル・ミュージックのレコード・コレクターとしても知られており、DJ活動も精力的に行っている。

…これ好きなやつだ!

………いや違う、前から好きだったやつだ!


既視感の正体は2つ。

ひとつはRECORD STORE DAY JAPAN 2018のイメージアートであったこちら

そして最近、仕事中に流していたYouTube動画のサムネイル(大滝詠一さんの『A LONG VACATION』のジャケットが有名です。かなり以前からシティポップとの親和性が高いことで知られていたのですね)。

画像2

たぶん意識して見ていなかっただけで、他でも色んなところで見かけているはず。

その時は「わぁ、この雰囲気いいなぁ…」と思うだけで特に深掘りしてこなかったが、今の私に必要なのはこの景色だ!と、まさに「ピンと来た」瞬間でした。

その後、ひたすら画像を検索し、プロフィールを調べ、過去のインタビューを読みました。画集も3冊買いました。(今後も増えると思います)

iPhoneのカメラロールはこんな感じになりました。

画像3

買った画集はさっそく、我が仕事場の一等地へディスプレイ。

ただ並べただけでも、雰囲気出てます。

画像4

上述したRECORD STORE DAY JAPAN 2018のイメージアートも右上の「CRUISIN’」に収録されています。


ご自身も音楽が好きで、レコードをかなりお持ちのようです。DJもやっていたらしく、そういう繋がりから、レコードやCDのジャケットなどアートワークのお仕事も増えたみたいですね。

イラストを描く時には、いくつかの風景や建築物の資料をミックスすることが多いそうです。私が氏の作品を見て「どこかで見たことがあるようで、どこにも実在しない」景色に感じたのは、それが由来していたのかもしれません。

彼の作品はシティポップを筆頭とした音楽とセットで語られることが多いですが、私はあえて一切の音を断ち切って鑑賞します。

彼の描く風景には人間や動物など生き物があまり登場せず、どの絵にも「非現実感」があります。そのことも手伝ってか、とても静かな美しさを感じるからです。

日々に追われて疲れた時、ほんの数分でもこの絵たちを見つめては、落ち着いた気持ちを取り戻しています。

さて、これで私も立派なリア充の仲間入りかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?