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「選ぶ楽しみ」を提供できないサブスクは廃れていく!?

デジタルサービスに続き、モノのサブスク化に関するニュースも、頻繁に目にするようになりました。一方で、定期購読に準ずるようなサービスは従来からもありますし、レンタルやリースなども、見方によっては、その一種のように感じます。サブスクと名付ければ、話題になりやすいくらいのノリでリリースされたサービスも多く、何がサブスクで、何がサブスクでないのか、もはや、その定義を考えることも無意味に思えるくらいです。

売る側の論理については、種々の解説本や、サイトに譲るとして、消費者側から眺めてみると、どうなるでしょうか。

サブスクは、「〇〇放題」とか「月〇回まで無料」といったように、プラスの側面にばかりに注目が集まります。でも買い切りで購入する場合と違い、申し込むことによって、生活の中に今まであった「何か」が、サブスクに「置き換わる」ことになります。行動パターンが変わると言っても良いかもしれません。ですから、「何を失ったのか」に目を向けることで、その本質が見えてくるように思います。

契約した当初は、どんなサブスクでも一定のお得感が得られるように思います(それが無いと、そもそも始めないので)。ただ、そのうちに、「せっかく契約しているのだから使わなきゃ」という感覚になってしまうサービスがあります。こういう思考になったら、その時点で、強いストレスを感じているということになると思います。

例えば、飲食系について。たとえお気に入りの店であったとしても、気が向いたときに買っていたから良かったのであって、時間や場所、回数を制限される中で利用することは、非常にストレスになります。以前はあった、その日の気分によって「自由に選ぶという楽しみ」。これが、サブスクに置き換わったということではないでしょうか。

一方で、ひとつの企業の商品に縛られず、選ぶ楽しみが確保されているサブスクもあります。選ぶということに関して、制限を感じにくい工夫をしているサービスについては、人気を得ているようです。

他方、契約していることを忘れるくらい、生活に馴染むサービスもあります。その人にとって、生活必需品に近いサービスです。人にもよりますが、例えば、アマゾンプライムや新聞系、オフィス365、adobeなどの類ですね。一度使い始めると「選ぶ」必要がなくなるので、そこに「選ぶ楽しさ」は必要ありません。

個人の嗜好によっては、生活必需品でなくても、それくらいの位置づけになるものもあるように思います。例えば私は、音楽無しでの生活は考えられませんので、よほど何かが無い限り、音楽のサブスクを辞めることは無いでしょう。音楽配信の中には、選びきれないほどの楽曲がありますし。

現時点では、お得感が「選ぶ楽しみを放棄するストレス」を上回るかどうかが、サブスクを申し込む際の判断基準になってしまっているように思われ、少し残念です。とはいえ、今後サブスクがどのように進化していくのか、楽しみにしている一人でもあります。企業の都合によって生まれるサブスクではなく、消費者の生活の一部が「自然に」置き換わり、生活の質が一段階上がるようなサブスクだったら良いですね。

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