見出し画像

【発表会の再定義】お客さんの拍手が、努力を健全な形で昇華する

先日、3年半ぶりに有観客で発表会を開催しました。出演者が半年間かけて、細部にまでこだわって準備してきた、言わば作品を聴こうと、多くの人が集いました。努力を見守ってきた出演者の家族・友人が来てくれるのももちろん嬉しいのですが、それ以外に、ただ純粋に「この特別な発表会を見たい・聴きたい」と駆けつけてくれる人が、年々増えているというのは、開校当初は全く想像しなかったことで、時間をかけて、丁寧に教室を作ってきて、本当に良かったと感じています。

そもそもを辿ると、「音楽教室の発表会というものに対して、良いイメージを持っていない人があまりに多い」と感じたことが、取り組みの原点です。見に行って、イマイチだった。これも良いことではありませんが、出演者当人がどのように感じたのか。ここにもっと興味を持って取り組む必要があるのではないか。そんな思いを持っています。果たして、音楽の愛好者を増やしているのか、減らしているのか。

発表会が盛り上がらない一番の原因は、「真剣に聞いてくれる人が集った場所で演奏をする」という前提が崩れてしまっているところです。誰かに届ける、受け取ってもらう。そうした授受が無ければ、それは単なる自己鍛錬の場。自分ができたか、できなかったか。いわゆる定期テストと一緒ですね。

・うまくいってもいかなくても、その努力をたたえ、温かい拍手で受け止める。
・素晴らしい出来だった場合は、割れんばかりの拍手で包まれる。
・出演者は、その興奮、熱狂を再び味わいたくて、次の練習に、能動的に取り組む。
・熱狂的な拍手が無かったら、悔しくて、やはり前向きに取り組む。
・出演者も観客も、次の発表会を待ち望む。

そういう正の循環は、すぐに出来上がるわけではなく、問題・課題を見つけては解決を図るということを、しつこいくらいに繰り返してきました。それは、発表会単体では話が完結せず、普段のレッスンの話、教室づくりの話、集客の話まで、すべてが繋がっているからです。

音楽というジャンルは、コツをつかんで、すぐにうまくなるというものではありません。だから、モチベーションをいかに高め、いかに持続していくかという点は、もっと注目されてしかるべきだと思います。その中で、お客さんと感情の授受をする経験は、音楽を続けていくうえで、ずっと根底で燃え続ける原動力となります。

子どもも大人も、初心者も上級者も、「音楽って楽しい!」を活動のベースに持ってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?