高級車の名前いっぱい言えるけど一生買えない
アルバムは完成させないと完成しないと判明したので、気合を入れ直して業務連絡や作業に取り組んでいるわけだが、それなりに成果は出ているように思える。現時点ではオケがわりと良い感じに仕上がりつつある。
周知のとおり、アルバムは完成させると完成する。しかし本当にそれで良いのか。完成しさえすれば万々歳なのか。これはつまり、進行を守ることがもっぱらの目的となってしまっており、より良いものを作るんだ、絶対に名盤を作るんだという内在的なパッションが蔑ろになってはいまいかという問いである。
『FIRE』以降、「うんうん、やっぱり名盤作りたいよねえ」という空気が醸成されつつあったから、進捗はそっちのけに、ひたすらクオリティの向上に取り組んだ。
クオリティの向上には際限がない。もちろん限界は必ず訪れる。ただしそれを限界だと認めるか否かは我々が好きに決めても良い。だから限界はあっても際限はないと言える。それゆえにクオリティの向上は続けようと思えばいつまでも続けられる。しかし、そうであるがゆえに、アルバムを作るのであれば、どこかで見切りをつけて制作に着手しなくてはならない。スケジュールを決めてその進行を守る必要も生まれる。
締め切りの厳守とクオリティの向上は本来二項対立させるべきではない。それは同時に取り組むべきものである。江戸の行商が肩にのせる天秤棒の両端に、そのふたつがそれぞれ括られていると考えてみよう。我々はそのどちらを犠牲にすることなく、バランスを取って商品を売り歩かねばならないのだ。おお!なんということだ。ものすごく当たり前の話ではないか。いずれにせよアルバムは完成させてこそのものであると言って差し支えないだろう。
『反逆の神話』を読み終えた。400ページ以上の本を読了したのはとても久しぶりだから感慨深い。放っておいても本を手に取るタイプの人間ではないから、多少無理をしないと読み終わらないのだと再確認した。
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