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俺より内向的な奴に会いに行く

この間のトピックにはどのようなものがあったか。まず、mei eharaの台湾でのライブにサポートとして同行したこと。帰国後、しばらくして謎の発熱があり、それから体調不良が続いていること。鳥居ゼミが復活となり、予約が一杯になったこと。一年ぶりにポッドキャストの収録をしたこと。久しぶりに予定もなければ差し迫った締切もないのんびりした休日を過ごせたこと等々。

ところで、気がつけば師走が後半に突入しているではないか。さすが韋駄天の異名をとるだけのことはある。来週はもうクリスマスだ。毎年この時期になると、不意に人類に対する深い慈しみのような感情が湧いてくるからびっくりする。厚着をした人々が、駅のホームで電車を待っていたり、コンビニで商品を手に取ったり、松屋で食事をしたりする姿を見ただけで、込み上げてくる。人々の営みが愛しい。清らかな気分に包まれて、このまま天に召されてしまっても構わないとさえ思う。

他方で、このところ巨大な虚無感に囚えられており、冴えない日々を送っている。何をしても虚しく、自分の取り組みがすべて徒労のように感じられる。いわゆるバーンアウトの状態なのかもしれない。それとも単に寒さで気持ちが塞いでいるだけなのか。寒暖差によってずたずたになった自律神経が心身に不調をもたらしているように感じる。なにより積もり積もった疲労が虚無の主たる原因だと思われる。要するに、身体が「疲れたから休ませてくれ」というメッセージを発しているのだ。それを虚無という形で伝えようとするのだから、私の身体はまるで文学青年のような奴だといえる。

このひと月はとにかくタフだった。まず11月の半ばに2日連続でトリプルファイヤーのライブがあり、しばらくしてから発熱して寝込み、なんとか回復してXGのショーケースに参加し、翌日にトリプルファイヤーのリハとライブをこなし、平日はリハを休みにしてもらって体調回復に務め、土曜にmei eharaバンドとトリプルファイヤーのリハを合計7時間こなし、明る日にはトリプルファイヤーの単独公演の本番があり、数日後には台湾へ行ってmei eharaバンドセットのライブをして帰国し、しばらくして悪寒と関節痛、微熱という症状が出たため一日休みにしつつも、その日締め切りだった原稿を完成させて提出し、数日後にはまた別の原稿を書いて提出したりしたので、さすがにボロ雑巾のような状態だ。そりゃあ虚無感も抱くわ、と思わざるを得ない。

心の中で「はあ疲れた。もう無理。休みたい。向こう10年ぐらい休みたい。もはや何もしたくない」と呟いていると、内なる道徳家が「世界に対してもっと謙虚になるべきだし、自分の恵まれた境遇にもっと感謝すべきだし、弱音を吐いていないで人類にもっと貢献すべき」といった内容の説教をかましてくるので、鬱陶しい。世界に対して謙虚になったり、感謝したり、貢献したりするのは、あくまで元気があるときになすべきことであって、疲れているときには無理な相談である。お前さんはまずそれを加味すべき、と内なる道徳家に対して強く言いたい。

アメリカの内向型人間の間では「ソーシャルバッテリー」なるワードが一般的らしい。日本語に訳すと「社交性の充電池」といったところだろうか。内向型の人間は他人との交流で甚大なエネルギーを消費するので電池切れを起こしやすい。つまり他人と関わるだけでひどく疲れてしまうのだ。このソーシャルバッテリーを再度満タンにするためには、社交から離れ、自分の好きなことでもして、一人でのんびり過ごすことが必要である。

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