見出し画像

『アルパ(アルティメットパーティー)10』の振り返り

日曜日。トリプルファイヤーのワンマン企画『アルティメットパーティー10』の日。ご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。

ところで、バンドが単独でライブを行うのをワンマンと呼ぶ。なるべくならこの言葉を使わずにおきたい。マッチョな感じが小っ恥ずかしいのだ。この言葉を聞く度に、ギリシャ神話に登場するアトラースが頭に浮かぶ。天空を双肩と首で支えるあの筋肉質な巨人の神様である。

ワンマンではなく、お笑いのライブに倣って単独と言えば良いのかもしれない。ちなみに先日、日本でショーケースを行ったXGに関するニュースでもやはり単独という言葉が使われていた。ワンマンという言葉の凛々しさよりも、単独という言葉の業務連絡っぽい響きのほうが肌に馴染む。

ワンマンと同様に、バンドマンという呼称もあまり好ましく思っておらず、一度も自称したことはない。当方の場合、音楽活動にあってもっともプライオリティが高いのは音楽だ。バンド活動に従事するのは、音楽に携わるための手段であって目的ではない。だから肩書を名乗らざるを得ない場合は、ミュージシャンか音楽家という呼称を使っている。

こんなことばかり言っていると、人から面倒臭い奴だと疎まれて、飲み会や打ち上げ、お花見、お誕生日会、バーベキューなどに誘われず、寂しい老後を過ごすことになりそうだ。しかしそれならそれで別に構わないような気もする。

言葉の運用にいちいち引っかからず、好き嫌いもせずに、どんな言葉もガシガシ使用できたほうが幸せな人生を歩めるであろうことは重々承知している。悲しいかなそれでも引っかかってしまうのだ。これが自分の性分なのであり、それで孤立を招いたとしても仕方がない。最近はこうした諦めの境地に至った。居心地の悪い思いをしながら無理して人付き合いするぐらいなら、多少の寂しさを抱きつつも自分に正直でいたほうが爽やかに過ごせるのではないかと思う。

『アルパ10』の裏テーマは、今年の2月にまとめて披露した新曲10曲をより磨き上げて発表するというものだった。加えて一部の既存曲のアレンジを変えて披露するというミッションもあった。さらに新曲を5曲ほど作るのもやぶさかではなかったが、それよりも昨年作った新曲を研ぎ澄ますほうに注力したほうが吉という判断をして、創作意欲を既存曲のリアレンジに向けたのだった。せっかくお客さんは貴重な時間を割いて足を運んでくれるのだから、何かしらフレッシュなお土産を持って帰ってもらいたいという気持ちも当然あった。

トリプルファイヤーに「変なおっさん」という曲があり、まずこれをリアレンジした。今年アナログフィッシュとラ・ママでご一緒した際、この曲を無骨なハードロックっぽいアレンジでカバーしていただいた。このアレンジがとても好きだったので、これを踏まえつつ、元のギターリフを誇張してスラッシュメタル風にアレンジした。むろんキング・ギザード&ザ・リザード・ウィザードやSASAMIの取り組みにも刺激を受けている。しかし新アレンジをデモにまとめてメンバーに共有したところ、素気なく却下された。トリプルファイヤーといえばユーモアを重んじる愉快なバンドというイメージが強いかもしれない。しかし鳥居の茶目っ気には冷淡なのだ。

ここから先は

3,750字
noteの仕様で自動更新(毎月1日)になっています。面白いと思っていただけたのならご継続いただけると幸いです。

日記と夢日記

¥500 / 月

少なくとも月に4本は更新しています。音楽、映画、ドラマ、本の感想、バンド活動のこと、身の回りのこと、考えたことなど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?