アルバムはリリースしないとリリースされない
今年のお盆こそは実家に帰れるかもと淡い期待を寄せていたが厳しそうな雰囲気が漂っている。一体いつになったら帰れるのだろう。実際、帰ったところで問題ないのだろうが、そうは言ってもやはり憚られる。やめておくべきか。ところで去年のこの時期はわりと飲みに行ったりしていた記憶がある。今年はさしたる思い出もないまま終わりそうな夏なんです。
千葉雅也、山内朋樹、読書猿、瀬下翔太による『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』のKindle版を購入。物書きのプロである彼らですらこれほどまでに苦しみながら書いているのかとまず驚かされたし、勇気づけられもした。依頼があって文章を書かなくてはならない場合、基本的には「才能ない死にたい」と思いながら書いている。知識も教養もないし、歴史的瞬間に立ち会った経験もない。声も小さいし、ずぼらだし、部屋が汚いし、凡ミスを頻発するわりに神経質だし、浪費癖があるし、ペーパードライバーだし、役所から届く手紙は無視するし・・・そんな私に書けることなどあるのだろうか、いや、ないだろうとついつい考えてしまう。
このような無力感、無能感をやりすごしつつ、いかにして書くことのハードルを下げるかといった課題について語られている点でこの本は画期的だと思う。文章とは本来斯々然々であるべきだといった強迫めいた規範をときほぐすためのヒントが提示されており、それもためになる。
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