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サヨナラのいいところは、とにかくいろんな人が報われるところ【6/25阪神戦◯】

なおみちのホームランを何度も何度も反芻する。本当に美しいホームランだった。さいっこうだった。でもそこに至るには、たくさんの人の頑張りがあったからだよな、と改めて思う。

7回無失点の、なっしーのすばらしい好投があった。「打っても打っても負ける」を繰り返した昨シーズンの記憶が新しすぎて、先発が7回無失点だなんてそりゃもう、泣けるほどすばらしい偉業なのだ。(いつもいつも9回に頑張ることにしていて申し訳ない。)それがなければ絶対に、サヨナラにはつながらなかった。

そしてサヨナラのいいところは、とにかくいろんな人が報われるところだよな、と思う。

9回裏の先頭で、同点ホームランかと思いきやフライになってしまったてっぱちも、チャンスでみんなの期待を乗せられまくって打てなかった村上くんも、1点を許したマクガフも、あらゆるお膳立てが整った先制のチャンスで三振だった荒木も。そのみんなが、サヨナラの瞬間に一緒にうわっと喜んでなおみちを迎え入れられるところが、すごくいい。(あの時の村上くんの表情は、ほんとうによかった)

でも本当のところ、その悔しい思いをした人たちの踏ん張りだって、サヨナラにつながっているのだ。

7回裏、あの場面で代打に呼ばれた荒木は、11球、粘りに粘った。なんというかピンチを迎えた守備の時くらい、胃が痛くなる場面だった。見てる方がそうだったのだから、打席に立つ荒木はよっぽどのものだったろう。「1点を取るため」の代打だ。そのプレッシャーは計り知れない。

その時荒木が、簡単にファウルフライに倒れたわけじゃないことを、みんな知っている。きっと、その時の荒木の気持ちが、悔しさが、ひしひしと伝わったのだろう。

8回表、ソロホームランを許したマクガフは、それでもその後崩れることなく三人を打ち取った。「崩れなかった」というのは、流れを完全には渡さないことにつながっていく。それだって大きな仕事なのだ。

9回裏のてっぱちの特大フライはきっと相手バッテリーを揺さぶっただろうし、村上くんの打席の雰囲気と豪快な三振も、相手には怖かっただろうと思う。

その悔しい結果は「求められた100点満点」ではなかったけど、決して0点じゃなかったのだ。だからこれくらいでへこたれるわけには、いかなかったのだ。

その悔しさは、なおみちがきっちり引き継いでバットで一気に返してくれた。

阪神戦の第二戦で3安打2打点の大活躍だったコータローは、同じ日になかなか大きな走塁ミスがあった。でもコータローは言った。「みんながイケイケな雰囲気をつくってくれて、流れに乗れてよかった」と。

誰かのミスを、責めすぎない雰囲気がベンチにはあるのかもしれないな、と思う。求められた結果の「100点」というのは簡単に出せるものじゃないけれど、それでも0点でないのなら、取り返していこうとする「イケイケの雰囲気」があるのかもしれない。だといいな、と思う。

そういうのはきっと、コータローやなおみちの1本につながっていく。

さてヒーローなおみちの話。

「もっと喜ぶかと思ったけど、なんか落ち着いたヒーローインタビューでしたね。もうベテランの域に入ってきたということなのかな」と解説の大矢さんは言っていた。が、たぶんそれはなおみちが宇宙人(by上田・ぐっち・他多数)だからで、いついかなる時もあのテンションなのだとは思うが、それはそうとして少し思うところはある。

なおみちの本心は分からないけど(宇宙人だし)、私はやっぱり、スタメンのなおみちも見ていたい、と思う。守備だって見たいし、サイレントホームラン(勝手に命名)も見たい。でももちろん、ショートには今、華麗な守備を魅せてくれるエスコバーがいる。なんせ私もすっかりエスコバーの守備に参っている。

そこには高い壁があって、そこに立つためには求められる結果を出し続けることが必要だ。

なおみちの今日の1本には、いろんな人の悔しさと、そしてもちろん、なおみち自身の悔しさが乗っていたのかもしれない。高い壁をこえるための、それは大きな一歩だ。

まだまだ長いシーズンは続いていく。みんなの活躍が、楽しそうにはちゃめちゃに笑う姿が、たくさん見られますように。



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