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東京ヤクルトスワローズ観戦エッセイ

ヤクルトが勝った日も、負けた日も、打った日も、打たれた日も、ノーノーの日も、(ほぼ)毎試合、観戦エッセイをアップします。勝った日は喜びを倍にし、負けた日は悲しみを半分…いや8割……
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2023年4月の記事一覧

【4/27横浜戦●】それでも、諦めないところ。

どうして人は何度も「今日はいける!!!!!!」と、思ってしまうのだろうか。それでいけなかったことなど山のようにあるのに、なんならもうそっちのほうが多いような気さえしてくるのに、やっぱり「今日はいける!!」と、思ってしまうのだ。 いや、わかっている。わかっています。ついこの間だって、5点差を逆転されて負けている。サヨナラ負けだって、目にしている。交代したほしくんが打たれたのも、田口がサヨナラを打たれたのも、もうすでに今シーズン目にしている。(ああしかし、書いているだけで胸が痛

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【4/26横浜戦●】どれだけ絶望してもやっぱりそこに希望があるのが、プロ野球のいいところなのだ

チームの調子が良いときというのは、こうして先発が踏ん張ってくれていると「今日はこのまま行けるかもしれない!」と、思う。そして、例えばそのあと失点してしまっても、「2点差なら…!」あるいは「3点差くらいならなんとか…!」と、なんとなく思えるものである。例えばWBCのときなんかは、3点差がついてもなお、まだいけるんじゃないか、という気持ちがあった。これくらいなら、なんとか…!と、どこかで思えるのだ。 だけどチームの調子が良くないとき、連敗しているとき、そういうときは、3点差がも

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【4/25横浜戦●】数字の積み重ねは、そこに立ち続けた証だから

数というものは、なんといっても積み重なっていく。本塁打数も、安打数も、盗塁数も、出塁数も、なにもかも。 もちろん、三振数も、「一桁安打の連続試合数」も、積み重なっていく。 積み重なった「三振数」は、消えることはない。ゲームみたいに、積み重なったらぱっと、消えたりはしない。数字はその数字のまま、のしかかってくる。 もう、なんとも言えないような表情でベンチに戻っていくむねちゃんの顔を、画面越しに眺める。見ている方だって、もどかしい気持ちも大きい、なんで打てないかなあとも思う

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【4/22・23巨人戦●●】いつか、バットにボールは当たるのだ

土曜日も登校の息子と、学校の最寄駅で待ち合わせをし、ランチをした。これまでそんなになじみのない駅だったけれど、息子が通い始めてからちょくちょく行くようになってみると、周りに個性的でおいしいお店がたくさんあることに気づいた。いろいろ理由をつけて近くにランチしにいくことにしよう。と、もくろんでいる。そう、息子が付きってくれる間は・・・。 ランチのあと、息子は塾があるので現地解散し、私は近所で大きめのスーパーへ行ってへんてこなスパイスを仕入れ(つい、へんてこなスパイスを買ってしま

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【4/21巨人戦○】息子とキッチンに立ちながら

息子と一緒に、キッチンに立った。 今までも、あれ作りたい!これ作りたい!と言う息子にあれこれ指示を出しながら一緒にキッチンに立ったことはあったけれど、今回は少し違う。 息子が「今日のごはん作るよー、豚肉焼くよー」と言って焼き始めたので、私は炊き込みごはんの準備や、副菜をお皿に盛ったりしていた。その間、私はとくに調理についてあれこれ言うこともなく、今日学校であった楽しいことを話しながら、それぞれごはんを作った。 夫はほとんど料理はしないし(そもそもほとんど家にいない)、せ

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【4/20中日戦○】大切なことは、あとから振り返ったときに気づくもの

球場を駆け回るキッズたちを見て、なんかふいに、泣きそうになる。 ついこの間まで、息子はこの子たちと同じくらいの歳だったのだ。うれしそうに傘を持って、覚えたての野球のルールを必死で教えてくれて、見よう見まねでスコアブックに得点を書き込んでは喜んでいた。iPhoneの写真アプリは、たまにその頃の息子の動画をレコメンドしては私を泣かしにかかる。 気づけばもう、息子は中学生だ。今日は一人で行ったことのない駅まで行って学校の遠足に参加していた。息子は遠足から帰ってくるのが遅く(そし

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【4/18中日戦○】田口とたっつぁん

たっつぁんというのは、みんな大好きヌートバーではない。達川光男氏、解説のたっつぁんである。 NHKでみやさまが解説しているとはつゆ知らず、フジテレビONEでたっつぁんの解説をまじめに聞いていた。 村上春樹はプロ野球の実況と解説がどうもにぎやかすぎて、無音で中継を見ることも多いと、なにかのエッセイで書いていた。まあそうは言っても世にはいろんな仕事があり、その仕事自体を否定するものではない。もちろん。それは、当然、好みの問題である。 そして好みの問題でしかないわけだけれど、

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【4/16広島戦●】安心と慢心のあいだに

我ながらうまいことを言っている。いや、そんなことを言っている場合ではない。 この、サヨナラ負けの翌日の5点差逆転負け。というのは、なんだか「知っているぞ」と、思う。懐かしい気持ちすら覚える。いや、いや、そんなはずはない…。そういった記憶ははるか彼方においてきたはず・・・・・・・・いや・・・・・・・

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【4/14・15広島戦●●】「やり場のない思い」の、行きどころ

サヨナラというのは、見てる方もそりゃもうやり場のない思いを抱える。「やり場のない」という表現がほんとうにしっくり来る。広辞苑の用例に入れてほしい。とにかく、負け方の痛みとしてはかなり強い。 前日は、1-0のまま、降雨コールド負けだった。これもまあなんというか消化不良感の残る負け方だけれど、その翌日のツーアウトからの逆転サヨナラというのはやっぱりとても、とても、つらい。 「やり場のない」思いは、その日ずっと、つきまとうことになる。そう、ホテルでおいしいコースを食べていてもふ

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【4/12横浜戦●】てっぱちが、抱えるものを。

「打たれる日」と、いうのはもちろんやってくる。そりゃそうです。知っていたけれどもいざやってくると「ううう…」と、やっぱり、うなだれてしまう。どんなときだって、負ける時というのは、悲しいものだ。「そういうものだ」と、つぶやくしかしかないのだけれど、悲しいものは、悲しい。ううう。と、思う。 うまくいかないときってこんな感じだったなあ。と、つくづく思う。むねちゃんの先制点までは「あれ、今日もいけちゃうのでは!」と、思う。だけど3回の牧の逆転2ランで、あれれ?と、思う。おかしいな。

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【4/11横浜戦○】むねちゃんは「もっと打てるんで」と、言った

カート・ヴォネガット・ジュニアの『スローターハウス5』という小説に、こんな一節がある。 ほんとうにへんてこな小説なのだけど(主人公は宇宙に連れていかれてどこかの星の動物園に美女と一緒に展示される)、まあほんとうにおもしろい本である。そしてこの一節はほんとうに、すばらしいなと思う。 宇宙に連れて行かれるのも動物園に展示されるのもおそらく「変えることのできない物事」なのだけれども、それを受け入れる落ち着き(この本の中では「そういうものだ」というつぶやきが繰り返される。)が大切

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【4/9阪神戦△】この投手陣のふんばりを、シーズン通して忘れずにいたい

息子を数学の講座に送り届け(5時間ぶっとおしでやるらしい。私にはわからんが息子には楽しいらしい)、そのついでに新宿界隈を久々に探索し、観戦エッセイをスタバで書き上げ、急いで家に戻る。 あまりに急いでいたせいかバスを乗り過ごし(ええ…)イヤホンで配信を聞きながら、遠いバス停から家まで歩く。良いお天気で、歩くのが気持ちいい。良い季節だ。たまにはバスも乗り過ごしてみるものだ。 吉村くんは初回さっそく一死満塁のピンチをまねきながら、無失点で乗り切っていた。ここで5失点、みたいな試

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【4/7・8阪神戦○●】一つの結果が出てからも、人生は続く。

初回に取られた1点が尾を引き、こりゃまったく取れないわ…と、思うところから、起死回生のホームラン2本で逆転勝ちする日もあれば、こりゃまったく取れないわ…と、思ったそのまま、試合が終わる、日もある。この2日の試合にはそれがぎゅうっと、凝縮されている。(息子の入学式により、2日まとめてのアップになったため、2試合を無理やりくっつけてまとめている感はいなめない。) しかし本当に、どちらの試合も「こりゃ打てないな…」と、思っているところまでは同じだったのだ。だけど金曜日はオスナのホ

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【4/6中日戦●】カツオさんは、いつもぜったい、いいわけをしない。

昨日に引き続き田口のYouTubeのお話。 カツオさんは「続けること」の大切さについて話していた。青木は「諦めないこと」について、話していた。でも思うにその二つは、二人ともきっと、大切にしていることだ。 カツオさんは今日、3回途中に、3失点でマウンドを降り、負け投手になった。カツオさんが悔しそうにマウンドを降りる姿を、何度見ただろう、と思う。「うまくいくことより、うまくいかないことの方が多いんだけれど」と、カツオさんは動画の中で言っていた。うまくいく試合より、いかない試合

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