人生でいちばん海がやさしかった日
夏になると、仕事に行けなくなったわたしを心配して親が海へ連れて行ってくれたのを思い出す。
雪国の海は正直あんまり透き通ってないしそこまで穏やかでもないけれど、あの日見た海はキラキラと光を反射させて優しくたゆたっていた。波はただひたすらザブンザブンと音を立てるだけだし、ウミネコは静かに防波堤に立っているだけ。誰もわたしを慰めたりはしない。
でもそれがよかった。
自然はただそこにあるだけでわたしのパワーを回復させてくれた。
夕方になるとぶよぶよしたオレンジの波動をまとった夕日