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1,267 本

まぶしくて、空は真っ白だった。

夕方に眠ったせいで夜は目が覚めていて、でも眠たくてはやく終わりたかった。あたたかいスープでも飲めば落ち着くのではと思い、作ることにした。飲酒をしていたから料理をしたい気分になっていたのだ。 今朝は、起きて着替えだけ済ませて部屋を出た。エレベーターが点検中で使えなかった。仕方がないので階段で降りる。 もっと頑丈な壁を作ればいいのに、細い鉄の棒を組み合わせただけのいかにも脆そうな柵しかないので怖かった。少し足を滑らせれば簡単にすり抜けるくらい、ほとんど空を歩いている気分だった

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まだ夢でも泣けやしない、こときみに話せない。

もう二度と晴れなんてこないんじゃないかと思った。死ぬまで太陽を見ることはなくて、でも白を捉えるたびにその存在は感じていける。寂しいけれど悲しくはないのかもしれない。 かなしみは自分勝手だから、それに向き合うために最後だけ特別にしていく。その行為こそが最低で、意識的に流される自分を嫌いになる。 まだ時間はあったけれど、誰にも会う気にはなれなくてそのまま帰ることにした。 本屋に寄った。欲しい本がたくさんあった。全部手に入れて読んだって、全部無意味なのにね。それでも欲望は尽き

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新しい隠れ家を手に入れたような。

本も音楽も逃げ場みたいなものだから、教養も歴史も二の次でいい。かなしみやさみしさが入る余地などいらないから、好きなものだけで埋め尽くしたい。 たくさん知っていたって、どれだけ正しさを振り翳したって、いつかみんな死ぬんだ。なんの力も持たなくなるんだ。少しくらい間違いがあっても居心地がいいほうがいい。 でも知らないことを知ろうとするのは格好良いことだと思う。それは豊かであろうとすることだと思うから、自分もそうありたいし、関わるにしてもそういう人がいい。 空いた時間に近くの道

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あとどれだけのさよならをするのだろう。

久しぶりにひとりで外を歩いた。広い空をゆっくりと見たら気持ちがよかった。石畳みたいな雲で、空が床みたいだった。 このところ何も浮かんでこなかった言葉が一瞬で出てきて、感覚が入れ替わったような気がして、驚いた。部屋にこもってばかりだと淀んでいくのだろう。 こんなに表現に触れていいのだろうか。パンクして溢れ出してしまわないだろうかと不安になる。大きな器と器用な感性は持ち合わせていないので、すべてを受け止めることなどはじめから期待していないが、素晴らしい表現を見るとひとつも逃し

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まだ夢でも泣けやしない、こときみに話せない。

もう二度と晴れなんてこないんじゃないかと思った。死ぬまで太陽を見ることはなくて、でも白を捉えるたびにその存在は感じていける。寂しいけれど悲しくはないのかもしれない。 かなしみは自分勝手だから、それに向き合うために最後だけ特別にしていく。その行為こそが最低で、意識的に流される自分を嫌いになる。 まだ時間はあったけれど、誰にも会う気にはなれなくてそのまま帰ることにした。 本屋に寄った。欲しい本がたくさんあった。全部手に入れて読んだって、全部無意味なのにね。それでも欲望は尽き

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新しい隠れ家を手に入れたような。

本も音楽も逃げ場みたいなものだから、教養も歴史も二の次でいい。かなしみやさみしさが入る余地などいらないから、好きなものだけで埋め尽くしたい。 たくさん知っていたって、どれだけ正しさを振り翳したって、いつかみんな死ぬんだ。なんの力も持たなくなるんだ。少しくらい間違いがあっても居心地がいいほうがいい。 でも知らないことを知ろうとするのは格好良いことだと思う。それは豊かであろうとすることだと思うから、自分もそうありたいし、関わるにしてもそういう人がいい。 空いた時間に近くの道

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また会ってしまえるほどわるくないよ。

なんだかずっと眠かった。遠い意識で間違えてばかりいた。 短期記憶が一瞬で抜けていく。選択が宙に浮いていく。そんなだからラジオから流れる好きな曲で、すぐにその時まで飛んでいけた。 あの時は人生をがんばっていたな、なんて思った。やりたいこととやること、両方やっていたし、好きな人を大切にしていた。 向き合うのと背くのは似たようなものなのかもしれない。誰かに向き合えば自分の内面とは離れてしまうし、でもそれは自分のことを知ったり変えたりするときでもあって、またそのときみたいに誰か

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絶望の中で見つけた光みたいな声がずるいよ。

スーパーノヴァや超新星という単語が歌詞に出てくると胸がきゅっとなる。やっと始まったはずなのに、もう終わりそうなそんな感覚になる。 見たことなんてないのに、どんなものなのか説明もできないのに、そのあまりの眩しさを想像するだけで満たされる。まるで光っていないみたいな声で歌う光が好きだ。どこまでも地に足がついている声で、遠い宇宙のことなんて歌うから、本当になんでもできそうな気にさせてくれる。 寝る間際までと起きてから部屋を出るまでずっとアニメを見ていたんだ。移動中はずっと音楽を

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