教育の事業とは?―「 憲法第八十九条にいう教育の事業について」

日本国憲法第八九条は「公の財産の支出利用の制限」を規定したものだが、公金・公の財産は「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業」に支出が禁じられている。

それに対して、昭和32年2月22日に「憲法八九条にいう「教育事業」について」という回答が提出されている。

(イ) 社会教育法(昭和二四年法律第二〇七号)第一〇条に規定する社会教育関係団体の行う次の事業は、憲法第八九条にいう教育の事業(以下単に「教育の事業」という。)に該当するか、というお話。

「人の精神的又は肉体的な育成をめざして、人を教え導びくことを目的とする事業であつて、教育する者と教育される者との存在を離れてこれを考えることはできない。すなわち、教育される者についてその精神的又は肉体的な育成を図るべき目標があり、教育する者が教育される者を教え導びいて計画的にその目標の達成を図る事業でなければ教育の事業ということはできない。

人が教えるという行為があっても、

「単に人の知識を豊富にしたり、その関心を高めたりすることを目的とするだけの事業」は、「教育の事業」には該当しない。

ぬう。
教え導いて計画的にその目標の達成を図るためのことが教育の事業だったら、これは専門家がいるぞ。

「知識」を生産し、人に伝え、その関心を高めるだけでない、「教育の事業」ができる学芸員がいることは否定しないけれど、「計画的に教え導く」のは、人を見ることができる専門職でないと難しいと思う。

「モノ」をみることも、「モノ」をどのように伝えるかというのも必要な能力に違いないのだけれど、「人」や「人」の変化を見るのも能力の一つだ。

※『解説教育六法 2020令和2年版』のほか、下記を参照としました。


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