反対している人の税金を使うこと ―湯浅誠×田中優子「<対談>対人関係構築能力、それが世界への回路だ」

湯浅誠:税金は、賛成する人の税金だけではなく反対している人の税金まで使ってしまう。我々が公園で炊き出しやっていたときに、怒鳴り込んでくるお母さんがいたんですよ。あんたたちがこんなところでやるからホームレスが集まるんだよとか、子どもたちが遊べないじゃないか、とか。我々は炊き出しやっているときは一応対応するけど、基本的には関係ないわけです。炊き出しをやめるわけではない。だけど政策とか制度はその人の税金を使うわけですよね。その人がそんなに使うんだったら私は払いたくないなどと言ったら差し押さえてしまうわけですよね。公権力ってそういうものです。それは仲間内の外に対してものすごく強くて怖いことをやることになる。
 理解してもらうことが理想だけど、そこまでいかなくてもいい。強く反対しなければよい。いろいろ思うところはあるけれど仕方がないかな、くらい言ってもらえるようにもっていかなければならない。そうすると、その人たちのリアリティってどういうことなんだろうと考える。

湯浅誠×田中優子「<対談>対人関係構築能力、それが世界への回路だ」
田中優子+法政大学社会学部「社会を変えるための実践論」講座編『そろそろ「社会運動」の話をしよう』

これって博物館のことに置き換えるとどういうこと?

博物館に賛成する人の税金だけではなく、反対している人の税金まで使ってしまう。博物館の存在を理解してもらうことが理想だけど、仕方がないかなと思ってもらえるくらいまでもっていかなきゃいけない。

そう思ってもらうためには、相手にとってのリアリティについて考える必要がある、と。

リアリティって?

湯浅誠さんが「公表によせて」を書いてらっしゃる『社会的排除にいたるプロセス~若年ケース・スタディから見る排除の過程~』もあわせて、どぞ。


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