博物館世代論のこれから ー伊藤寿朗「現代博物館考」

 伊藤寿朗の第三世代論は実に魅力的で、さまざまな研究者に3.5世代とか4世代を想像させる。

 かくいう私もその一人である。

 僭越ながら私が思うところを説明させていただきたい。

 私は、当時の議論と同じ土俵の上で戦いを挑む必要があると考えている。なぜなら、伊藤寿朗自身がこういうからである。

第一世代を否定する論理としての”公開”という次元は、また無限の機会提供であり、一過性の利用に対応したものである。そして、この第二世代は、同時に、第三世代の”参加・体験”という次元から否定の対象とされるという間隙に位置しているわけである。

伊藤寿朗「現代博物館考」『調査季報』94号、1987年

 このように新しい世代を想定して、今の状態を批判するというのは当時の社会学で流行っていたらしい。

 だから、伊藤寿朗の博物館世代論にのっかるのであれば、私は「参加・体験」の第三世代の否定して、新しい時代を想定する必要があると考える。

 さらに、伊藤は人の利用形態の変化によって世代が転換すると説明しているので、私は「参加・体験が困難な人」を対象化していくことが、「参加・体験」の第三世代の否定になっていくと考える。

※同じ文章は他でも読めますが、webでみられるのは伊藤寿朗「現代博物館考」『調査季報』94号、1987年


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