社会教育はいつ、どこで提供される―『解説教育六法 2020令和2年版』から考える

社会教育がどこで行われるのか、ということについて、法の話を続けてみたい。個人的にはYoutubeも立派に社会教育だと考えるが、「国」がその振興に責を負うものなのだろうか。


第七条(社会教育) 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法 によつて教育の目的の実現に努めなければならな い。(旧法)

第十二条 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によ って奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。(改正法)

この変化について、解説には「国民の自主的主体的な相互学習、共同学習の精神が後退し、「要望」「養成」が重視され、地域での家庭教育学習や働く場所での社会教育は対象外とされ、学びの空間が縮減される危惧が生じた」と説明されている。

また、図書館、博物館、公民館等の施設の設置から、「その他社会教育施設」が並列して加わったことを指摘する。つまり、「博物館のようなもの」でも設置しているもんね、ということになるだろうか。

そして、図書館、博物館、公民館等の施設を設置できなかったとしても、「学習機会及び情報の提供その他の適当な方法によって」社会教育の振興をすればよいことになるとして、「民間事業者の学習機会の利用や情報提供を含めて考えられていることを示している」という。

もちろん、ユーキャンのような生涯学習講座やカルチャーセンターだって学習機会には違いないし、そうした民間がやってくれることに公がお金をださなくてもいいだろう。

でも、それで、「国民一人一人があらゆる機会に、あらゆる場所において学習することが」できるのだろうか。できる人はできる。できない人はできないという状況を生み出してしまわないだろうか。

※『解説教育六法 2020令和2年版』参照

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