公論の形成のための「原初状態」ーアマルティア・セン『不平等の再検討ー潜在的能力と自由ー』

博物館といっても、水族館、動物園、美術館、大きいところから小さいところ、目玉となるような資料があるところから観光資源には乏しいところまで、本当に様々あり、関係者間での調整がつかないのは仕方がない、とも言える。

さらに輪をかけて、博物館法改正の関係者は、所管部局、学芸員の養成を行う大学にも関わってくる。大学の先生と現場とでも温度差があり、関係者間で調整がつかないのは、やっぱり難しいだろうとも思う。

そこで、ジョン・ロールズさんの「公正としての正義」。

「原初状態」という工夫もそのひとつである。原初状態とは、そもそもの始まりにあったと想定される仮想的な平等の状態であって、そこでは人々は(自分が誰の立場になるかを正確には知らないままに)社会の基本的構造を決める諸原理を選択すると考える。

アマルティア・セン『不平等の再検討ー潜在的能力と自由ー』p133

自分がもし、14万で雇用も不安定な状態の飼育員になる可能性もあるかもしれないし、給与はそこそこあっても労働量がコントロール不可能であったり、なかなか来館ができない来館困難者であるかも知れないし、利用できる余裕なぞなく必死に税金と社会保険料を納めている人かも知れない。

苦しい人ばっかりになってしまったけど、豊かで自由な状態の人かも知れない。どちらかわからない原初状態を仮定して考えてみましょ。

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