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Jojo Rabbit


公開初日に観に行く映画は何本目だろう。

金曜日。「疲れたなぁ。今日はもう帰ろう。」
と家の方へ向かう足にブレーキをかけて
映画館へ行ったのは まぎれもなく正解だった。

この映画を観ているたった2時間のあいだに
私の持ちうる全ての感情が姿を現した。
もう大洪水。

第二次世界大戦下のドイツ。
靴紐もまだ自分で結ぶことのできない10歳の
少年ジョジョはナチスの全体主義的なムードに
完全に感化され ヒトラーに心酔している。

しかし 反ナチ主義の母がこっそり匿っていた
ユダヤ人少女との出会いをきっかけに
彼の信じていた世界は段々と崩されていく。
自分自身で 考え 迷い 感じ 「大切にすべきもの」に気付いていくジョジョ。

ユダヤ人少女のエルサ 親友のヨーキーに
上官のキャプテンK みんなかっこよくて
素晴らしかった。

けれど 私が一番感銘を受けたのは
母のロージー。もしも私があの時代あの場所に
生きていたとしたら ロージーと同じような
行動がとれただろうか…。
誰にも影響されず 正しいことを自分で判断し
その考えを恐れずに貫き通せる人。
強かった。尊かった。
我が子がどんどんレイシストになっていく姿に
どれだけ心を痛めていただろう。

この世で一番強いものは愛なんだと語る
シーン。
「一番強いものは ミサイル。次がダイナマイトで3番は筋肉。愛なんて見ても分からない。」
と言うジョジョに「愛は目に見えなくても
分かる。感じるの。痛いの。お腹の中で蝶が
飛び回る感じ。」と伝える母。

全く見当違いかもしれないけれど
最後にジョジョが靴紐を結べるようになったのは 愛が分かる少年になったことを表現しているのかなと。 日本では「蝶々結び」っていうじゃないですか。ジョジョのお腹の中にも蝶が飛び回るようになった印だと解釈。
(海外で蝶々結びって表現聞いた事ないけれど…)

映像 音楽 内容 そしてファッションまでも
この映画の全てが私の心にすとんと入ってきた。まだ2020年始まったばかりだけど
私の中で今年一の作品になる気がしている。
それどころか今まで私が観てきた映画の中で
確実に上位に入る作品だと思う。

去年「僕たちは希望という名の列車に乗った」の感想でも同じ事を書いた気がするけれど
やっぱりこの映画も過去だけの話ではないよね。

世界は今もなお 様々なヘイトで溢れていて
誰かからの攻撃に怯えている人がいる。
苦しんでいる人々に十分な救いの手が届かないでいる。

自戒も込めて何度でも言いたい。
今この世で起こっていることに いい加減
無関心でいるのはやめよう。自分自身でちゃんと考えよう。学ぼう。間違いと正解をきちんと区別できる人間になろう。

そしてもっと愛を語ろう。
愛する人と一緒に踊ろう。

全てを経験せよ
美も恐怖も
生き続けよ
絶望が最後ではない




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