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弥次喜多が帰ってくる 3

8月がスタートです。5日が初日の八月納涼歌舞伎 第三部で幸四郎さん猿之助さんの弥次喜多が上演されることになり、勝手に私が好きな思い出のシーンを書いています。どうぞお付き合いください。


2018年8月、3作目が誕生しました。この回はちょっぴり特別でした。幸四郎さんの襲名yearであり、前年秋に猿之助さんが怪我をしてから初の弥次喜多でした。1月から舞台に立っているとはいえ、こんなにすぐに猿之助喜多さんを観ること叶うとは思わずドキドキしました。

前回の2作品はシネマ歌舞伎になっています。主演二人の意向なのかどうかはわかりませんが、3、4回目は映像になっていません。日々、ものすごく変化し進化するので本来は難しいのかもしれません。

また、猿之助さんは新橋演舞場「NARUTO」と掛け持ち。NARUTOメンバーは演舞場に専念でした。笑也さん笑三郎さん猿弥さんなど、澤瀉屋の多くが歌舞伎座にはいませんでした。にしても。。前年よりまた人数が増えているのは驚きでした。


弥次さん喜多さんはまた伊勢を目指して旅をします。

超衝撃だったのは、幕開きの舞台中央に猿之助喜多さんの遺影があり、お葬式から始まったこと。心臓に悪かった(笑)せっかく怪我を乗り越えたのに。。きっと猿之助さんは冗談ではなく真面目に考えていると思うのだけど。。

何で喜多さんが死んじゃったかというと、松竹座での大道具アルバイトの最中、「女殺油地獄」の油を片付ける時にすべって頭を打ってしまった。実際、前月に松竹座で幸四郎さん猿之助さんの女殺~がかかっていました。わからない方向けにイヤホンガイドでフォローしてました。

幸四郎弥次さんは「ぎださぁ~ん」と大泣き。梵太郎(染五郎)政之助(團子)が「喜多さんはどうせ地獄行き」と言うと、弥次さんも「地獄へ行く~」

で、猿之助喜多さんが幽霊で登場しちゃう。喜多さんは、地獄行きが決定済(笑)死んだ家族から「良いことをして大事な人から’ありがとう’と言われることができれば、天国行きに変更できる」と告げられます。

弥次さんは喜多さんを偲ぶお伊勢参りに旅立ちます。天国に行きたい幽霊喜多さんはついて行きます。喜多さんから弥次さんは見えるけど、弥次さんからは見えない、という状態で物語は進みます。


私は前作2作品を超えた!と思うくらい大好きな回になりました。歌舞伎パロディをふんだんに取り入れ、しかも弥次喜多が主線にいるではないですか!!

冒頭のお葬式のシーンから続くのは怒涛の早替りでした。これがすごかった。圧巻の早替りをしたのは、獅童さん七之助さん中車さんでした。30分くらいの間で、顔はめパネルを入れたら、それぞれ6役していたと思う。通りすがって、出てくる時は違う役、みたいな(笑)とにかくどれだけ裏で走ってるの!というくらい圧巻で息一つ乱れていない三人に感動でした。

その後に猿之助さんも早替りがありました!喜多さんから花魁になる。花道の花魁道中もありました。幸四郎弥次さんとの「籠釣瓶花街酔醒」のパロディ。宴会シーンでは、弥次さんの猿之助花魁へのセクハラが日に日にエスレート(笑)触りまくってましたよね。

ただやってみたかったのだろうなぁ。。という総勢40名くらいの’だんまり’も笑いました。もはや誰がどこにいるのかわからない。そして、このだんまり最中にも猿之助さんが花魁から喜多さんへ。獅童さん方、三人も替わります。集中して観ていないとわからないパターン。

獅童さん方三人は前半で出演が終了。後半は地獄のシーンになり、弥次さんが生きたまま地獄に引きずりこまれてしまう。一緒に喜多さんも地獄へ。そこで登場するのが鬼たちでした。

それぞれ踊りの見せ場がありました。閻魔大王は右團次さん、妻の新悟さんはお茶目。自撮り棒で撮影してた(笑)千之助くんや成駒屋三兄弟、鷹之資くん玉太郎くん。トリは小さい右近ちゃんでした。ここは阿波踊りの群舞がすごかった。

そしてなんと!弥次喜多史上初の弥次さんが本格立廻り!武器を持たないのにめっぽう強い(笑)右近ちゃんも立廻りに参戦!舌を抜くぞ~という感じのハサミを持って弥次さんにかかります。が。。。。。大人気ない弥次さんは右近ちゃんに本気で挑む(笑)泣かしてしまいます。「児童虐待で訴えてやるっ!」ここサイコーでした。

その後、現世に戻れることになった弥次さんたち。

またまたなんと!弥次さんは勢いよく現世に戻り過ぎて、石に頭をぶつけてひん死の状態。喜多さんの死んだ理由とほぼ同じなんだけど(笑)というか、え~!!喜多さんが生き返るどころか、弥次さんも死んじゃうじゃない!!

ここからはルフィとエースのシーンかと思うほど、シリアスなシーン。ひん死の状態の弥次さんが、どれだけ喜多さんのことが好きか、喜多さんのお陰でどれだけ人生が楽しくなったか。。語りに語ります。

泣けてしようがなかった。それに、幸四郎さんは猿之助さんのことを本当にこんなふうに思っているのはないかとも想像してしまった。怪我の後だから尚更、心に沁みました。

弥次さんが喜多さんに言います。

「ありがとう」

その瞬間!喜多さんの天国行きが決定!!ここで門之助さんのキリスト、染五郎くん團子くんの天使が登場。4人宙乗りになり天国へ行っちゃった(笑)


弥次さんの独白のシーン。喜多さんが嬉しそうに弥次さんを見ていたのを覚えています。姿は見えなくても、あんなふうに近くで見てくれている人がいたら嬉しい。優しい気持ちにさせてくれる弥次喜多でした。

翌年はシリーズのラストになると公言して臨んだ作品です。

続く

aya


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