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勘三郎さん祥月命日

12月5日は勘三郎さんの祥月命日です。
あれから9年が経ちました。

私が歌舞伎に出合った2008年。初めて勘三郎さんの芝居を観たのは10月でした。浅草の浅草寺横に突如出現した芝居小屋。’平成中村座’でした。

江戸時代の中村座の様子を再現した小屋は、一歩足を踏み入れると、「楽しんでってー」と言ってくれているようでワクワクしました。働くお茶子さん方も楽しそうで、見ているこちらも楽しくなります。お席はギューギューなんだけど(笑)またそれが小屋っぽくていい。

まるでタイムスリップしたかのような空間。歌舞伎役者さんは歌舞伎座と変わらないのに、なんだか江戸時代からやってきたような錯覚に陥りました。もう、楽しくて楽しくて。夢中になりました。

二か月公演で、10月は「仮名手本忠臣蔵」とりわけ’大序’は大好きでした。A~Dプログラムまであり、それぞれ場面や役者を変えて上演する趣向も楽しく、全て観てしまいました。

11月は「法界坊」で、これがまた面白くてしょーがなかった。笑って笑って、仕掛けや演出に驚いたり。。虜になりました。

千穐楽。カーテンコールで勘三郎さんがファンレターを披露したいと、客席にいたアナウンサーの方に読んでもらいました。内容の記憶が薄れてしまったけど、勘三郎さん方だけでなく、お茶子さんやスタッフの皆様に向けた感謝の手紙だったと思う。勘三郎さんは一緒に芝居を作った仲間たちへの感謝を伝えたかったのだと。お客の多くは涙していたし、歌舞伎公演で初めて号泣しました。

私は魔法の粉をかけられた。
舞台の表と裏、客席を一体にする勘三郎さんの魔法にかかった。そして、歌舞伎ってすごいと思いました。

私は猿之助さんも舞台と客席を繋いでくれる人だと思っています。そういうところが勘三郎さんに似ていると。

猿之助さんは勘三郎さんに
「あんたは出た途端、お客様に魔法の粉をかけるんだよね」
と言われたことがあるそう。

そして、この時のことを勘九郎さんが覚えていて、(猿之助さんを観て)「すごいよ、俺に似てるよ!」と勘三郎さんが電話をかけてきたと言ってました。勘九郎さんは「自分基準かよ!」と思ったそう(笑)

このエピソードが大好きです。それに嬉しかったです。共演していたらどんなだったのかなぁと考えてしまうけど、昨年12月の勘九郎さん猿之助さんの吃又で叶ったと思う。勘三郎さんを重ねて観ることができました。二人は思いを繋いでいくのだなと感激でした。

7日21時〜BSプレミアムで放送される
「中村勘三郎が挑んだニューヨーク公演 歌舞伎に求めたものは」

勘九郎さんの仲蔵の前編後編の間に放送とは心憎い。
楽しみにしています。

aya



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