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「猿之助と愉快な仲間たち」第2.5回公演千穐楽 1

千穐楽おめでとうございます。
6回公演の幕が無事に下りました。

猿之助と愉快な仲間たち 第2.5回公演
七川劇団リターンズ「新説 堀部安兵衛」

観劇は千穐楽を含め3回。二日目の夜、三日目の夜、そして千穐楽。こんなに行くとは思っていなかったな。。仕事終わりに駆けつけることになりました。

猿之助さんの言葉ではないですが、観る側もスタミナがないと(笑)でも好きなこと、楽しいことはやれちゃうのです。しかも猿之助さんが命を削って奮闘しているとあれば力も湧いてきます。


初見の日、皆さんがちょっぴり固いなぁと感じました。私としては、もっと楽しそうで遊び心満載であってほしいと思ってしまった。青虎さんが初演出。たぶん、青虎さんは真面目な方なのかな。猿之助さんの演出に慣れているから、猿之助さんでいつも感じる「驚き」がなかったのが残念という感想でした。

だから、一幕目の終わり、猿之助さんが古畑任三郎のモノマネで出てきた時の「驚き」がしっくりきてしまいました。似ているし(笑)舞踊ショーの猿之助さんにもびっくり。お客を楽しませる天才。これに慣れてしまっている私の心のハードルが上がっているのかもしれません。

ですが、1回目より2回目、そして千穐楽。と芝居がメキメキ進化しました。特にその変化が面白かったのが、主役の堀部安兵衛を演じる下川真矢さんと、安兵衛の命を狙う中津川役、翔乃亮くんでした。

下川さんはアクションのプロなので殺陣が素晴らしい。千穐楽の渾身の立廻りは最高にかっこよかった。堀部安兵衛が、まだ中山安兵衛だった頃のお話。歌舞伎座一部で猿之助さんが堀部安兵衛の切腹シーンを演じているので感情移入してしまいました。話が直接つながっているわけではないのですが、中山時代も安兵衛はやっぱりいい人。

独り語りがありました。「人は一人では生きていけない」仲間を頼り、そして頼られる人間になればいい。。と。これは下川さん自身が心からそう思って言っているのだと伝わり胸が熱くなりました。主役を演じるのは初めてだそう。若手ではない下川さんの深みというか、感謝も伝わる芝居でした。

翔乃亮くんは前回もよかった。でも今回はまたひと皮むけたような。若手の歌舞伎役者の皆さんの最大の武器は、立ち姿の美しさと言葉の明瞭さだと思ってます。翔乃亮くんはずっとキレてるお役(笑)でしたが、もう顔芸と言っていいほど表情をクルクル変えて最高に面白いし、セリフが明瞭。千穐楽はお客の拍手を独り占めしていたくらい人気者になってしまいました。テンポがいい。

だからなのかわかりませんが、歌舞伎座第一部で大工さんで登場する場面が面白くなっているのですよ。共演してる翔三くんも然りです。

初参加の翔三くん、三四助くん。タイプの違う女方を楽しめました。翔三くんがモデルのように長身で美しく、三四助くんが懸命な感じが可愛らしい。

右田六さんは実直な侍。感情を出すのが難しそうなお役に見えました。インスタライブでは柔らかな雰囲気ですが、舞台では内にある熱さを感じます。安兵衛の心を知り、安兵衛に叔父の遺言状を渡すくだりは、気持ちがゆらぎ決心するまでが上手くて引き込まれました。

喜介くんは新境地(笑)実際にいそうな青年?中年?純粋で頼りなさそうな安兵衛の弟キャラはハマっていました。

笑猿くんと穴井豪さんの夫婦は意外性がありよかった。翔乃亮くんを笑猿くんがビンタする場面が好きでした(笑)穴井さんはかっこよすぎる大工さん。今回、大活躍ですね。千穐楽、ぴとっと寄り添う二人が微笑ましかったです。

段一郎さん、段之さんが私的にはとてもツボでした。ともに安兵衛と同じ長屋に住む住人。段一郎さんは医者。段之さんは海苔屋?のおばあちゃん。ですが、このお二人は歌舞伎座第一部で猿之助さんの後見をバリっと務めているのです。かっこいい袴姿とのギャップがいい。

レギュラーとして加わった下村青さん。七川劇団の女方です。登場で「メモリー」を歌うのを、いつも冒頭で阻止されていましたが、千穐楽はフルコーラスを歌ってくれました!さすがの歌声で癒しの空間でした。深川芸者役も素敵でかっこよかったです。

安兵衛と彼を取り巻く人たちが戦うのが、敵役の青虎さん石橋正高さん。下川さんとの立ち廻りは迫力ありました。

ここまでの人たちが七川劇団の皆様。芝居がしたくて成仏できないでいる人々。

そして、もう一人成仏できないのが、前回の公演で、死んじゃったの?と悲しかった劇場経営者だった奈良橋の石橋正次さん。七川劇団に混ざって芝居をします。安兵衛の叔父役。芝居がきゅっと締まりますし、ラストの言葉がいい。

前回、劇場従業員だった小松、郁治郎さんが現在は劇場支配人になっています。奈良橋がいなくなったのは自分のせいだと責め続けています。その苦しみが、七川劇団の芝居と奈良橋の言葉で消化されます。芝居の力で小松の心に希望の光が差すのです。生きる力が沸き上がってくるような郁治郎さんに感動でした。

そして、劇団の皆は成仏できたのでした。

郁治郎さん他、現代に生きる人物として、大知さん澤五郎さん、立和名真大さん。ここにレイコママがいてほしかった(笑)


ストレートプレイに徹した一幕目でした。暗転後に現れたのが猿之助さん。真っ黒スーツで古畑任三郎風。えーと。お顔も黒い。私が観た3回とも言うことを変えていました。これが猿之助さんなのですよね。大筋は「青虎さんはよくやったけど、一つミスを犯した」と。舞踊が入っていないことを指摘し、このあとショーをやりますと言って「市川猿之助でした」と去っていきました。

この舞踊も心から楽しみました!
感想の続きは次回に。

パンフレットは回ごと色違いで可愛い。グッズなどのデザインは福田あやはなさんという方。この絵の猿之助さんが好き。クリアファイルとハンドタオルを買いました。

クリアファイル

Tシャツも人気でした。会場内で着ている人が多かったです。初見の時は猿之助さんがTシャツの宣伝をしてました。

ハンドタオル

芝居で泣いて、舞踊で笑って!?
千穐楽のカーテンコールでまた泣いた。

これを猿之助さんたちと一緒に体感できるのがこの公演。近い距離だからこその一体感がたまりません。今も余韻に浸っています。


aya


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