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「新版伊達の十役」私的楽しみ

写真は2014年5月明治座で幸四郎さん(当時 染五郎)が初役で’伊達の十役’を務めた時の大型パネルです。この10役全てが幸四郎さん。順番に登場するわけではなく、早替りで同じ役が何度も登場しました。単に10回着替えているわけではないのです。

明日が初日の歌舞伎座’十二月大歌舞伎’
先ほど上演時間が発表になりました。第一部「新版伊達の十役」は、幕間20分を含めて2時間10分。猿之助さんの演出でもともと5時間越えの作品が、ほぼ新作となってお披露目です。

猿之助さんは初役。歌舞伎はお稽古三日と言われますが、このご時世です。制約がいろいろあり、さらに大変なのだろうなと妄想します。早替りの舞台裏は、F1のピットのように、役者がはけてくると裏方さん数人で同時に次の役の拵えにかかります。早替りと言えば澤瀉屋。チームワーク抜群なのでもう信頼しかありません。

今回、私が楽しみにしているポイントの一つがその早替り。猿之助さんは世界一速いです。そう信じています。二桁超える人数は久しぶりに観ますのでテンション上がります。この一年、6役早替りはありましたが、面白さは倍です!それが時短で!ワクワクします。

また、10役の中で特に楽しみなのが、乳母政岡と仁木弾正。「伽羅先代萩」という仙台藩で起こったお家騒動’伊達騒動’をもとにしたお話のメインキャラクターと言っても過言ではない二人です。

それぞれ当たり役としている役者さん方がいらして、過去に伽羅先代萩を観た時、政岡は藤十郎さん玉三郎さん魁春さん七之助さんなど、弾正は吉右衛門さん白鸚さん幸四郎さん海老蔵さんなどで拝見しています。なんとなく猿之助さんで観ることができる日は遠い。。そう感じざるを得ませんでした。

初めて伊達十を観た時、これだ!!と思いました。お家芸の中に政岡も弾正もいるではありませんか。猿之助さんのフィールドでいつか叶うと思いました。二役ともに大役です。女形、立役を兼ねる役者である猿之助さんの真骨頂です。立役がメインの幸四郎さん海老蔵さんで伊達十を拝見した時に、猿之助さんなら。。ちょっぴり悔しい想いをしていました。

チラシの写真は弾正でした。このお姿が観たかった!本来の伊達十なら、弾正の宙乗りがあります。今回はありません。そのあたり演出がどうなっているのかも楽しみです。役の内容は観てのお楽しみになさってください。

そして、久しぶりの中車さん右近ちゃんの共演です。最近はTVや映画で拝見する香川照之さん。4月の猿之助さんとの小鍛冶以来です。しかも今回は女形。ひとクセある栄御前で登場です。右近ちゃんは6月の日蓮以来ですね。政岡の子、千松です。これも楽しみ。

’伊達の十役’は通称です。
本当は「慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)」。これは、役者が、恥も外聞もなく紅葉の様に顔を赤くして、大汗をかいて十の顔を見せる、という意味だそう。役者も気合を入れて演じなければ務まらないというのが’顔見勢’という部分に表れているとも聞きました。まさに壮絶な早替りなのです。

勢。。どこかで。。と思われた方!そう11月の’花競忠臣顔見勢’と同じです。今度は猿之助さん自身が奮闘する番なのですね。

aya


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