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演奏動画収録をめぐる心理(1)

楽器を演奏される方なら、ご自身の演奏動画を収録された経験をお持ちの方も多いと思います。特に、このコロナ禍にあって、演奏動画の収録機会が以前にもまして多くなってきたのではないかと思います。

ところで、皆さまは、演奏動画の収録はお好きでしょうか。

・演奏動画を撮って提出しなければならないけれども、実は、動画の収録は独特の緊張感があるし、何度も何度も失敗してしまう
・正直自分の演奏動画を見るのは、相当程度抵抗感がある
・動画収録って実は苦手

そういう方多いのではないかなと思います。程度の差はあるでしょうが、私自身もそういう感覚を持っています。

これですが、ある程度は「慣れ」も大きいと思います。もちろん、「慣れ」だけで、ある程度解決するケースもあります。ここは個人差があります。

ただ、いろいろな事例を実際に目の前で見聞きするに及んで、これらの問題、実は「慣れ」だけでは解決しない場合がある、ということを発見してしまいました。

「慣れ」だけで解決できない方の場合、結構厄介な心理ブロックのようなものが存在する可能性があります。

これは、いわゆる舞台の本番で起こる緊張の問題と似ているところもあるのですが、同一視できないところもあります。なぜなら、「舞台だと上手くいくのに、動画収録だと上手くいかない」タイプの方と、「舞台ではうまくいかないが、動画収録だと比較的安心して取り組める」タイプの方(昔もレコードばっかりのアーティストいらっしゃいましたよね!)が存在するからです。どうしてそういう違いが出てくるのだろうか、という話を考えると、問題の本質が見えてくる気がしますね。

あるいは、私どもの収録現場でもよく見られることですが、圧倒的に子供の方が短期間でビシっと決まることが多いのですね。大人の場合、もちろん個人差もありますが、いわゆる「ドツボにはまってしまって抜け出せない」ケースも多々見られます。このあたりも興味深い事象です。

ということで、今回は、以前に私どものところで公開した動画コラムをご紹介したいと思います。

動画撮影をめぐる心理的な状況について語っています。後半では、世阿弥の『花鏡』に示された「離見(りけん)の見(けん)」「見所(けんじょ)同心の見(けん)」についても触れながら、動画撮影に対して抱く苦手意識を払拭するヒントを探ろうという内容になっております。

ご興味がおありの方は、こちらをご覧になってみてください。

最後に一言、自分の演奏動画を撮ってチェックしてみるということは、心理的な抵抗感もかなり大きいですが、メンタルトレーニングの観点からも、また演奏技術の向上のためにも、大変有効な方法であることは言うまでもないと思います。

最近、自分で自分をチェックするために作ってみた動画です。お恥ずかしいい限りではありますが、もしよろしければ。

演奏動画をめぐる心理については、もう少しだけお話したいこともありますので、また稿をあらためてご紹介したいと思います。

ありがとうございました。


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