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◆DAY86 上海タンゴマラソン①洗礼

ウィーンから帰国すると、上海タンゴマラソンがすぐ目前に迫ってきた。

今回は11/16昼成田発、11/18昼羽田着という弾丸スケジュール。費用を抑えたいため、燃油サーチャージ込みで約36000円という激安チケットを予約した。

行きは成田→PVG(上海浦東国際空港)、帰りはSHA(上海虹橋国際空港)→羽田と、行き帰りのロケーションも違うし、中国東方航空……うーん。かなり不安だけど3、4時間のフライトだし、ええいままよ。

宿はミロンガの開催会場であるRayfont Shanghai Xuhui Hotelを予約。こちらも2泊で$88.13とリーズナブルで助かった。

格安航空券を比較検討しているとき、私はなんとも言えない高揚感に包まれていた。上海に行くということより、単純に「これから冒険をする」という未知への好奇心からくるワクワク感。結婚してからは楽チンな旅しかしなくなったが、私の原点はやはり地を這うような旅のスタイルにあるんだな、とあらためて思う。

さて、旅と宿を予約した後に頭を悩ませたのが、衣装のこと。現地に2日間しかいないんだから、荷物も身軽にしたかったが、そうはいかなかった。

ミロンガにドレスコードがあったのだ。

11/15 Chinese red

*ここから参加*

11/16 

16-21:00 Jungle Style (anything related to forest)

21:00-2:00/2:00-6:00 Pop art



11/17
16:00-21:00 Neon Style

21:00-2:00 Classica milonga (lace)

ジャングルスタイル(植物柄)やレースは良いして、ポップアートって何よ。それより困るのが17日昼のネオンスタイルだ。暗闇で光るバングルとか持って行こうかな?(→結局、明るい緑のワンピースで妥協)

かなり時間をかけて各ミロンガのコーディネートを考え、4パターンのドレスとタンゴシューズを持ち込み用のスーツケースに詰め込んだ。踊りすぎて足が痛くなった時のために、テーピングも忘れずに持参した。

("ジャングルスタイル"のときのワンピ)

*2019年11月16日*

さて当日。座席に中国語が飛び交う中国東方航空は落ちも遅れもせず無事に上海に到着した。

ふう、ひと安心。15:50に空港について、急いでホテルへチェックインしてミロンガ会場へ直行しても18時前になるだろうから、飛行機が遅れなどしたらますます踊れる時間が少なくなる。

SHAから市内まではタクシーで40-50分の距離。タクシーを拾おうと空港の外へ出ると、客引きが「タクシー!!こっちだよ!」と猛烈にアピールしてくる。

いつもだったら胡散臭い客引きは振り切って、公式のタクシーへ乗るところを、この日は油断していた。というか、しばらく一人旅をしていなかったので、危機管理能力が落ちていた。

「Yes」という前に強引に私のコロコロを自分の車へ運び始めたその客引きに、ホイホイついて行ってしまったのだ。

とはいえ最低限、乗る前の値段交渉は忘れなかった。

行き先のホテルの住所を見せ、「ここまでいくら?」と聞くと、「200元」という。
事前に調べていた相場は150-200元だから、(まぁいいか……車も綺麗だし)と思いながら了承してしまった。

車が動き始めたあとで、急に不安に襲われた。交渉制だから当たり前とはいえメーターも動いてないし、もしこの人が極悪人で、どこか知らないところへ連れて行かれて身ぐるみ剥がされたらどうしよう。初めての海外じゃあるまいし、こんな客引きに捕まるなんて……なんてバカなんだ。怖いよー。

Google MapのGPS機能で自分がどこにいるかをチェックしながら車の中で身を縮こませている間、ちっとも気が休まらなかった。運ちゃんは呑気に家庭の話などしているが、話の内容がぜんぜん頭に入ってこない。どーでもいいから早く降ろして(涙)!!

神経がすり減らせながらの50分は拷問だった。ミロンガ前に少しでも体を休ませたかったのに……。

それでも車窓の外はにわかに賑やかになってきて、どうやらちゃんと目的地周辺へ近づいているみたい。よかった〜!!!

「そろそろホテルのあたりだよ。先にお金払ってね」と言いながら、運ちゃんがサラサラと紙(請求書)に書いた値段は、300元。

話が違う〜!!!
「200元と言ったじゃん!!」とさすがに抗議すると、
「高速代など含めてこの値段だよ」と平然としている。
あー、でたよ。このパターン。タイでもインドでもよくやられたよ……。

半ば呆れながらも、私は考えた。
1元約15円だから、たかだが1500円くらいの違いだ。昔だったら、100円でもボラれまいと徹底的に交渉しただろう。でも今回は、言い争うよりもいち早くホテルにチェックインしたかったし、何より無事に着いたことに安堵していた。

「わかった。でもちょっと高すぎるから、250元にして」と交渉すると、意外にもあっさりと「OK〜」。
多分、ダメもとで300元と吹っかけたのだろう。

不快な表情すら見せずに車を降りるお人好しな私に、「うちはすぐ近くなんだ〜。もう仕事終わりだから、家に帰るよ♪」と言いながら、運ちゃんは上機嫌で去っていった。

早速上海の洗礼を受けてしまったが、気持ちを切り替えてタンゴだ!


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