グリムジョー・ジャガー・ジャックの能力の考察

豹王(パンテラ)

エスパーダの中で6の番号を与えられ、司る死の形は「破壊」であり、破面編ではウルキオラとは別に黒崎一護と対となるライバルのような立ち位置であり、破面編後も生き残り虚圏をハリベル、ネリエルらと共に統治していた。
この二人も他のエスパーダに比べると比較的地味な能力であったがグリムジョーの能力である豹王の力は身体能力の向上と強力な攻撃手段である爪を模したもの。
BLEACHの主人公である一護も死神、虚化、完現術者、無月、と様々な形態をみせたものの、特殊な力と言えるものは「月牙天衝」以外は特になかった。
一護とライバル、という状態も似たようなシンプルな能力も相まってシンプルなバトルとしてはバランスの取れたものだった、といえる。

黙示録の獣説は虚時代

前にエスパーダの考察において各エスパーダはヨーロッパの童話や日本の昔話から能力が来ているのではないか、と考えいくつかのエスパーダは当てはめる事ができたがうまく行かないキャラもおり、その中の一人がグリムジョーである。
別の記事で能力が「豹王」という事で豹繋りで「黙示録の獣」ではないか、と考察した。
一応それも一つの答えではあるのだが帰刃の「豹王」が黙示録の獣であったという事はつまり、「過去」のグリムジョーが黙示録の獣であったという事。
では破面となった現在はなんなのか。

名前から読み解く。グリムジョー。

グリムジョー・ジャガー・ジャック、BLEACH内でも1、2を争う気持ちいい響きの名前とファンの間でも言われている。
まずグリムジョー、スペルはGRIMMJOW。
もしこれがgrimm jowでエスパーダの言語的に近いラテン語を当てはめるとグリムと顎。
「グリム童話の顎にまつわる話」をさしているのなら「つぐみのひげの王さま」という物が当てはまる。
つぐみのひげの王さまのあらすじは他国の王様や貴族、金持ちから求婚されても馬鹿にして相手を見下してきたわがまま姫の行いが父の王様の怒りを買い、乞食の嫁に差し出され、権力を盾に好き放題していた事を恥じて改心したら実はその夫の乞食は姫に求婚してきた一人、姫が「ツグミのような顎だ」と馬鹿にした王様だった、という話。
教訓としては分かりやすい教訓のある童話であり、エスパーダは昔話や童話をモチーフにしているという自分の考察通りであり、グリムジョーを語る上で重要なキーワードである「王様」も入っている。
しかし、そうなるとグリムジョーは作中で「俺が王だ」と権力を誇示しており、教訓を得るのに失敗している。
とすれば自分の考察通りなら死ぬ筈であり、考察にはまだ何かが足りないのである。

ジョー

グリムジョーのスペルはjowだがあくまで日本語の音、「ジョー」として解釈した上で別の言語的解釈をするなら「男を示す」、だとか「何でもない男」。
日本語的には「○○野郎」とか「○○の旦那」といったあだ名というかとりあえず「男」以外の情報はない上で挨拶する時の呼びかけ、というニュアンスがある。
この辺うまく言語化できていないのは自分でも理解しているが結論としてグリムジョーは「童話とは無関係の何でもない男」と言える。
つまり、それはグリムジョーは「教訓を持たない者」、つまり「エスパーダ以外の破面と大差のない普通の破面」という事になってしまう。
まぁ、破面になった、あるいはアジューカスになっただけで特別な存在とはいえるのだけど。

ジャック

ジャガーより先にジャックから読み解くのは「エスパーダ以外の破面と大差ない」、つまり他の一般の兵と変わらないという事になるとジャックが繋がってくる。兵士とジャックといえばトランプのジャックだろう。
そしてトランプについて調べると昔のジャックに相当するものは「Knave」という男の召使いを指す言葉であり、「King」と「K」がダブるという事で変更されたらしい。
とすると作中において考察や指摘が的を外れていた事が多いフラシオンのシャウロンがグリムジョーを「王だ」といったのもまた勘違いだったと言える。
同時に他のエスパーダと比べてシンプル過ぎる能力についても納得がついてしまうのである。

ジャガーと豹王

動物にそこまで知識がなかった自分は当初はジャガーも豹も対して差がない、「大型のネコ科の肉食動物」という認識だった。
しかしながら大型の肉食動物といえば他にもいて有名なのはやはり「百獣の王」ライオン、そして虎。
他にもピューマやチーター、様々いる。
問題はどれも特性があって狩りの方法や生活スタイルが異なるのである。
例えば顎。豹はあまり強いとは言えないらしく、獲物の首筋、柔らかい部分に牙を刺す。
一方、ジャガーはかなり強いようで獲物の頭蓋骨を噛み砕くらしい。
豹も獰猛な肉食動物とはいえ、真っ向勝負を好む傾向を考えると相手の弱点をつく豹の性質よりもジャガー寄り。
また基本的にネコ科は単独行動でありそれをBLEACHのグリムジョーに落とし込むとフラシオンが多すぎる。これではネコ科では珍しく群れを作るライオンの性質になる。
またグリムジョーは積極的黒崎一護にしかけていったし、執念深さもあった。
これはどちらかというと一日にかなりの長距離を移動して追いかけ狩る虎の性質である。
ジャガーであり、豹であり、そしてライオンでもあり、虎でもある。
非常に大雑把な「ネコ科の大型肉食動物」という自分の当初のイメージ通りといえばその通りなのだが果たしてBLEACHにおいてその「大雑把さ」は自然な物と考えていいものか、「意図された大雑把さ」なのか。
そうして考えた時、自分は後者だと思う。

再度ジャック

さて大雑把な「ネコ科の大型肉食動物」の寄せ集めがグリムジョーのモチーフだとしてジャック、トランプに戻るとトランプには4種にカードが分けられている。
ハート、スペード、クラブ、ダイヤ。
こちらも普段気にすることはないが調べるとどうやら描かれているのは兵士、というより「英雄」 がモデルになっているらしい。
そしてこの英雄達を見ていくとそのエピソードがどうもグリムジョーの性格や作中での立ち回りにに似ている物がある。
また、トランプの顔の向きについてもカードの種類毎に違いがあり
ハート(愛)にはガン見、ダイヤ(財)にはチラ見、クラブ(知識)にはそっぽを向いてスペード(死)には完全に逆向き。
愛を愛着、財を権力、知識を勉強、死はそのままでいいとしてそれぞれBLEACH内に描かれた物に置き換えるとグリムジョーの性格に当てはまっているように思える。

パンテラ

豹王のフリガナとしてではなく、パンテラそのものに注目したい。
パンテラは確かに「豹」を意味する言葉でもあるらしいがもう一つある。
それはキリスト教におけるキリストを産んだ聖母マリアを強姦した兵士の名前がパンテラというらしい。
一応「処女受胎」のエピソードでマリアは処女でありながら神から子を授かった、とされるが現実的には性行為をしなければ妊娠しない。
つまりは血縁上はキリストの父、となるがそれをBLEACHに落とし込むとやはりグリムジョーは強い何かを持っていると考えられる。

兵隊

ジャックにしてもパンテラにしても「兵隊」「兵士」なのだがグリムジョーが一兵士とするなら破面を統率するエスパーダと一兵士が同格となる、という事を意味する。
つまりは王、あるいは将軍と兵士が同じ場所、同じ立ち位置にあるという事だがそこで自分の頭に浮かんだのは「将棋」、エスパーダの言語に寄せれば「チェス」である。
そしてこのチェスにおける兵士「ポーン」がグリムジョーとした場合、グリムジョーのシンプル過ぎる力の在り方に説明が付く。
それと同時にチェスにおいてはポーンにのみ与えられている力、「プロモーション」がある。
条件を満たす事で「King」以外の駒に成ることができる。
クイーン(女王)、ルーク(戦車、あるいは城)、ビジョップ(僧侶)、ナイト(騎士)の4種である。
破面にはこれらと近い名前や姿、能力をもった者達が揃っており、
ハリベルの帰刃、「皇后鮫」
ネリエルの帰刃、「羚騎士」
ゾマリの帰刃「呪眼僧伽」
と当てはまる。
ルークについては六の漢字(家の形の象形)からグリムジョー自身として解釈できる。
またトランプのジャックの4種のモデルもこれに加えた場合、
例えばハートのJのモデルとなったラ・イルという英雄。
ジャンヌ・ダルクとともに戦争で戦った英雄で「憤怒」のあだ名があり気性が荒い。死の形が同じヤミーを連想、といったようにエスパーダのほぼ全員の能力や姿というのがこじつけられるのである。

デスガロン

豹王状態で発動させられるグリムジョーの最強の技だ。
先述の「豹王、黙示録の獣説」だとかグリムジョーに作中で描かれなかった強い力があるとするならこの爪を模した能力にも何かあると考えた場合、同じ爪という事で「霊王の爪」が関係してくる。
自分の考察では黒崎一護が完現術者になったのは他の完現術者のように「霊王の身体の一部を持っていた」からではなく「霊王と同じ性質を持っていたから」という事になり、一護の中の虚、ホワイトに必ずしも霊王の爪が使われていた、と断定しない。
そもそも一時的とはいえ十刃落ちのような状態になったにも関わらず明確に十刃落ちにされないままフラシオンのような立場に収まった事を考えるとグリムジョーがエスパーダに返り咲く事を藍染惣右介が見越していたか、あるいは何らかの理由で手元に置いておきたかったか、という話になる。
また、霊王の爪の所持者だった松本乱菊の斬魄刀も灰猫と「ネコ科」の名前を冠した能力だった事からも関連性がない、とは言い切れないのである。

まとめ


・グリムジョーはただの破面。
・グリムジョーはただの一般兵士
・豹王(パンテラ)は豹の力ではなくではなく、名前のジャガーも特定の動物ではなく「大型のネコ科の肉食動物全般」を指す。
・ジャックはトランプにおいて「Knave」とされていたが頭文字が「King」 と被るため紛らわしいのでジャックになり、シャウロンの「王」発言は勘違いだった。
・一般兵士ゆえに特別な力を持たないもののチェスでいうところの「 プロモーション」によってどんなものにでもなり得る可能性がある。
・必殺技のデスガロンは霊王の爪由来の能力かもしれない。

長々と考察して結局のところ「かもしれない」ばかりの妄想の範疇ではあるがとりあえずグリムジョーというキャラで考察、妄想を広げるには自分にはこの辺が限界な所。

追加考察・バラガンの重鎮だった説

トランプのジャックから考えてブラックジャックという遊びがあるわけだが、その遊びで使われる「21」という数字。
作中で登場するバラガンのフラシオンは20番代だがそろっているわけだが欠番として21と23がある。
元々グリムジョーは12番で後に6のエスパーダへと昇格したとあるがこの「12」という数字も妙に思えてくる。
12は21と数字の前後を入れ替えた数字でもあるし、番号がエスパーダとして2番目のバラガンと10番代の2番目が過去のグリムジョー。
また、21から6を引くと15。グリムジョーの対となる相手が15、つまり「一護」を暗示しているようにも思える。
白一護の元となった虚、ホワイトの成り立ちというのが「死神の魂魄を重ねる」というざっくりとした説明であり、そこで「崩玉」を使ったとか「霊王の爪」を使ったなどの考察が出てくる。
逆にそれらを使わない場合、死神の魂魄を重ねる工程で必要になるのは入れ物となる「虚の肉体」である。
崩玉、あるいは霊王の爪といった物を使ってホワイトを作り上げた、という場合は恐らくそれらが「核」となりそれに纏わりつくように死神の魂魄を重ね合わせてホワイトが出来上がるイメージだ。
それとは逆にあらかじめ「虚の肉体」という器、外枠を用意してその中に死神の魂魄を注ぎ込む。
その器となる「虚の肉体」に選ばれたのがグリムジョーだったのではないか。
そうなると問題は身体と切り離されたグリムジョーの精神。
そこに霊王の爪がグリムジョーの精神と融合した、とするとこの記事で考察した「霊王の爪を持ったグリムジョー」と「霊王の爪を持たないホワイトの成り立ち」が矛盾しないまま成立し、「王ではなく兵士でありながらエスパーダ並みの強さを持つ」理由にもなる。
加えて一護への執着も「ホワイトが自分の半身だから」となって理由がつけられるし、パンテラとキリストとの血縁関係という話もBLEACHという作品における「救世主」である一護の母親の体を犯した事への暗示にもなっている、とこじつけられるのである。
ブラックジャック(21)から一護(15)に受け継がれて残ったのがグリムジョー(6)、そんな感じに。

追加考察その2・王になるためにはどうするべきか

あくまで前提として上記のトランプやらチェス、そして「6」のグリムジョーの対であり半身が黒崎一護の中にある白一護の原型となっホワイトが「15」に相当し、合わせて「21」となりブラックジャックとなった姿がグリムジョーの本来あるべき姿である、とした場合、というのを前提に考える。

まず、この21だがその数字から自分は「2 」のエスパーダであるバラガンのフラシオンだった、と考えているわけだがという事は「バラガン」が「王」であるとするのであればグリムジョーは「王子」のような存在になる。
虚に血縁関係などはないだろうが奇しくも虚圏を統治、という意味では後継者となっている。
そこでトランプのジャックからブラックジャックを連想したのであればトランプのキングが何かヒントになり得ると考えた。

トランプのキングはそれぞれ、
スペード(死) →そっぽを向いている。
クラブ(知性)→普通に見ている。
ダイヤ(財)→食い入るように見ている。
ハート(愛)→クラブ同様に向き自体は普通だが頭を剣が貫いている。

自分にはコレはバラガンの末路のように思えた。
スペード、死んだ要因は自分の力、「老い」 が最強の力としていたから油断で死んだ。死に対して向き合っていなかったと言える。
クラブ、知性は虚圏を統治した実績、空座町での指揮をとるなど普通にある。
ダイヤ、財は金銀財宝は虚には価値がないだろうから虚圏の「 王」という権威、地位とするなら作中で描かれた通り、非常に強い執着を持っていた。
ハート、愛であるが結局のところバラガンはエスパーダ、そしてフラシオンを含めて他人に愛着は無かった。藍染惣右介に対しては憎しみであり、そう考えると愛着と言えるようなもの自分自身と言える。
そしてハートの絵柄は自殺している風にも見えるわけだが、バラガンの末路は結果的に見れば自殺に近い。

トランプの絵柄に沿ったら死ぬ、というのであるならばグリムジョーはギリギリのラインではあるがそれぞれの絵柄の意味する所から回避していたように思える。
破面篇では確かにその絵柄のような立ち回りをして、結果死にかけたわけだが千年血戦篇、対滅却師では一護との戦いへの執着(ハート)一時的にとは言え中断して共闘。
「俺が王だ(ダイヤ)」なんて事は言わずに対一護のために修行(クラブ)をしていた。
そして一番の要因はエスパーダとしての「破壊」。「6」が漢字の「六」ならば家を意味している。
ハリベル、ネリエルらと分担とはいえ統治者であるグリムジョーにとって家とは虚圏全域。
それがなんとか破壊されないように動いた。

とするならばである。
当にこのまま対一護を目標に修行を続け、虚圏を統治して行けば「王」には成れる。
そうなると王となった頃には結果的に「一護と決着をつけたい」という執着心も消える、という事になるが。


さらなる力を得る一つの可能性の考察

先の考察はあくまでブラックジャック、21になることを「王」とした場合であるがもっと単純な方法がある。
結論は6に15を足せばいい。
どういう事か、というとグリムジョーのフラシオンであり、ザエルアポロが自分から切り離した「15」の破面であるイールフォルト・グランツ。
このイールフォルトの帰刃、「蒼角皇子」は牡牛のような姿になる。
そして一護の中の白一護の原型、「ホワイト」も角を持った姿、大分痩身だが見ようによっては牡牛に見えなくもない。
この牡牛だがヒンドゥー教においては神聖な動物として扱われている。
加えてイールフォルト・グランツのグランツというのは「光」という意味があるらしい。
ホワイト、そしてイールフォルトの帰刃の姿から「牡牛」が「15」となり、それをグリムジョーに捧げれば「王」になれるのではないか。
とした時に一人、というか一匹というか当てはまりそうな奴がいる。
「アヨン」である。
アヨンはハリベルのフラシオンである3名の女型破面が左腕を捧げる事で呼び出す謎の存在である。
左腕を捧げた3名の特徴を受け継いだキメラ的な存在ではあるが実際のギリシャ神話の「キマイラ」とは姿形の特徴が異なる。
アヨンはあくまで「混合生物」としてのキメラであるのだがシルエットとしては「牡牛」に見えなくもない。
まぁそれは個人の感性ではあるが重要なのは左腕を捧げた破面の番号である。
それぞれ「54」「55」「56」である。
それぞれ2桁目と1桁目を切り離して「5と4」「5と5」、「5と6」として考える。
左腕をそれぞれ捧げた、というのがこの片方の数字を捧げた、と解釈すれば2桁目で考えると「5 +5+5」、1桁目にしても「4+5+6」で合計は「15」となる。
まぁ全部捧げれば「165」になるためグリムジョー(6)を三獣神が囲む光のハーレム(1と5)とも解釈できる。
コチラの解釈でも良いがどちらにしても三獣神がグリムジョーにアヨン、あるいは自分達を捧げればグリムジョーは手っ取り早く「王」に成れるのではないか、と思う。
まぁキャラ的には色気より戦闘のため地道に修行するタイプであってほしいとは思う。
ちなみにこの考察通りならアヨンとは「偽のホワイト」 となり、つまりは「偽主人公の素」となる。




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