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#51 - 「これからも僕らはパーティーを」 DYGL 秋山×ANORAK! 前田×Strip Joint 岸岡

割引あり

2023/02/19に開催されたDYGL TOUR 2023。ANORAK!とStrip Jointが参加。
当日の様子はこちら↓

ANORAK!
photo by hiro itou
Strip Joint
photo by Yukitaka Amemiya
DYGL
photo by Riku Kuwahara
photo by Riku Kuwahara

Strip Joint magazineの石川(私)と Strip Jointの岸岡が、DYGLの秋山さん(最前列右)・ANORAK!の前田さん(最前列左)をお迎えして、あの夜のこと、これからのことをお話ししました。


 -まずはみなさんのご関係から。

石川

改めて、皆さんそれぞれ、元々長くお付き合いはあるんでしょうか? 

秋山 
僕はStrip Jointの方が(ANORAK!より)早く知り合ってました。特に中塚くん(Ba.)はかなり昔から知り合いで。
前のアルバムをコロナの最中、2021年に出して、そのツアーでサポートが必要なところで西田君にドラムお願いしたこともあり。そのあたりからだんだん他のメンバーとも話したりって感じでした。
 
岸岡
そうですね。
 
秋山

ANORAK!の皆さんと会ったのは、友達にめちゃヤバいバンドがいるよって聞いて、横浜のB.B.streetまでライブを見に行ったのが初めてですね。
 
石川

Strip JointとANORAK!はお知り合いだったんですか?
 
前田

共通する知り合いのバンドはいたりして。VINCE;NTとStrip Jointがスプリットを出していたり。

岸岡 

QUATTROの日が初めましてでしたね。ジャンル横断型というかそういう所は共通するんですかね。
 
秋山 

Strip JointもANORAK!も、関わる人や場所において、一つのジャンルに縛られたくないっていう意識はあるの?
 
岸岡 

そうですね。うちはメンバーの趣味も結構バラバラだし…。
 
秋山

っぽいね(笑)。
 
岸岡

そのメンバーの良さを生かしたことをしたいっていうのは一貫して思っていることなので、ジャンルも必然的にやはりまとまりはしない。
 
石川

ANORAK!もジャンルの多様さという意味では同じ意識をお持ちですか?
 
前田
たぶん、エモリバイバルとか、メロディックパンクとか、そういうジャンルっぽいことはやってるんですけど、メンバーはそれこそStrip Jointと一緒で、Jロックっぽいバンドも、ハードコアも、インディーロックも好きみたいな感じで。
いろんな知り合いの方から誘っていただけるので、ハードコアのイベントも出るし、同世代のギターロックの感じの友達の企画にも出させてもらったり。なんか気づいたらこうなってたって感じですね。
それこそ西田さんがもう一個やってる鏡 KAGAMIってハードコアバンドと一緒にやったこともあって。(Strip Jointとは)全然音の違うバンドをやられてて、めちゃ面白いなぁと思ったりしましたね。 

鏡 (KAGAMI) - BUSH BASH TOKYO, JAPAN 12,12,2021


 -「難しい話ではないかもしれません…ANORAK!とやると嬉しいなって気持ちとStrip Jointとやれたら嬉しいなっていう気持ちがその日一緒になったっていう感じですね。」

石川

ツアーのタイミングでこの2つのバンドに声をかけられたっていうのはどういう動機からなんでしょうか?
 
秋山

俺らがバンド始めた頃、共感できるバンドがあんまりいなくて。できるだけ感覚の近いバンドと一緒にやることで、観る人にムードが伝わるといいなって思っていました。バイブスを突き詰めたら違うバンドとは、そんなに一緒にやりたくなかった。DYGL初期って視野狭かったと思う。その時期も必要だったと思うんですが。だから今、ANORAK!とかStrip Jointみたいなバンドが早くから開けた視野で活動できているるの、すごく良いなと思う。
僕らも活動していくうちに、自分たちを「インディーロック」みたいな括りで考えることに飽きてきて。本当に自分たちがいいと思える音楽であれば何でもいいかなっていう。ANORAK!とStrip Jointはただ単純にDYGLメンバー全員がいいなと思える、ファンになれるバンドだったので、シンプルに一緒にやりたくてお願いしました。

石川
なるほど。
 
秋山

難しい話じゃないかもしれません。ANORAK!とやれたら嬉しいなって気持ちとStrip Jointとやれたら嬉しいなっていう気持ちが、その日一緒になった感じですね。
 
石川

ありがとうございます。外から聞いて、勝手に勘繰っていろいろ意図を想像してしまってました。
 
秋山

ちょっと前だとハードコアのシーンはハードコア、ダンスミュージックのシーンはダンスミュージックであったのが、最近ではクラブ系のイベントにバンドが出ていたり、ハイパーポップ周辺の様子も雑多なのに統一感があったり、すごく面白い。エモの空気の強いバンドとハードコアが一緒にやるとかはわかるけど、レイヴっぽいものとインディが混ざってたり。90年代とかそう言う時代にはあったのかもしれませんが、今新しい形で東京でもそういうムードが芽吹いているのがめちゃくちゃワクワクします。僕らがやることも、結果的にそうなってたら嬉しいですね。
 
石川

当日はどんな雰囲気だったと感じますか?
 
前田

常に色んな人と話したり、音楽聴いたりしている時に1日が過ぎ去ってしまった感じで。楽しい1日でしたね。
 
石川

ジャンル混ざり合った坩堝のような印象、あの日はすごい僕も感じてました。いい意味でごちゃ混ぜになってる感じですごい心地よくありましたし、確かに一瞬でした。
 
岸岡

うちのバンドメンバーがDYGLのステージに参加してるっていうのが、「バンドやってて、こんなこともあるんだな」っていう。そういう意味で思い出深い日でしたね。
 
前田

会場大きかったのもあるし、スタッフさんいっぱいいたりとかで、なんか普段の環境と全然違うところが多かったです。
それにStrip JointとDYGLはテクスチャーとか質感は近い気がしてて、俺らが音的にはちょっと離れてる感じもあったから、一人ですごい緊張してました。そんな中、下中さん(DYGL)がすごい優しくて。
インディーっぽいバンドでやる機会は実はあまりなかったりもしたんですごい新鮮で面白かった。あのステージで一緒にDYGLと演奏もできたし、やはり貴重な経験って感じで、面白かったです。
 
ANORAK! - canary/can't stop thinking/new grass February 19,2023

 秋山
ありがとう。


-もっとカオスなパーティーを

 秋山
あのくらいしっかりしたイベントだからこそ、ちゃんとお客さんにも周知できるというところもあると思うんですけど、終わった後もお客さんも出演者もごちゃごちゃのままパーティー続くみたいなの、やりたいなと思ってて。
そういう意味でもいろんな気付きになったかなっていう。
特別な日だったなで終わらせないで、カジュアルにああいうノリのごちゃごちゃしたやつをまたできたらいいなって思ってます。
 
石川
いいですね。なかなかあのままお客さんも合わせてっていうのはちょっと想像しにくいですけど…(笑)。
 
秋山

長居すると箱に迷惑かかっちゃうからね(笑)。でもあのムードのまま、みんな残ってもらって、もっとカオスなパーティーしたいなって確かに思いましたね。
ANORAK!のことを紹介してくれた、kohepi(Kohei Yonaha)っていう映像撮ってる友達がいるんです。彼がSPORTっていうフランスのエモバンドを沖縄に呼んでやったイベントがあって。クラブでバンド演奏させて、フロアライブみたいな感じ。装飾も自由にやってる感じで。そういうのもっとやりたいな。
ともほくん(前田)遊びに行ったりした?

Kohei Yonaha (South Nerd Film)

 Sport - Saint Louis, 1904 live at LOVEBALL in Okinawa

前田

僕はその時、地元の三重にいて、別のバンドでがっつりツアーを回ってて。自分のライブで会場に行ったらSPORTのフライヤーが貼ってあって、すごい悔しがっていた思い出があります。
 
石川

5月8日に色々規制が撤廃されたじゃないですか。
コロナの前のライブの見方、気づいたら忘れてるなぁと思って。僕そのとき高校生とかなんですけど。
 
秋山

あぁそっか…。
年齢的に、コロナの前にそもそもライブ経験がそんなになかった人たちとか。その人たちの感覚と僕らとは絶対違うだろうなっていうのは最近ちょっと考えてた。
そんな人たちが今から作るライブやイベント、興味ありますね。おもろいイベントやってください。遊びに行きます。
 
岸岡
うちはフロアライブのイベントを最初の頃に結構やってて。
演者とフロアとがフラットで地続きというのは俺の中のずっとあるテーマなんです。音楽やるっていうことは特別なことだけど、音楽が好きっていうのも特別なことだし。
音楽が流れて、出番になるとBGMの音量が上がって、静かになって、でバンドが始まる、みたいな型があるじゃないですか。フロアライブであったり、「ステージっていうこういうものだよね」っていうところから外れたものをやりたいっていうのは、特に最初の2、3年はすごいあって。フロアライブの間でテクノのDJが1時間セットしてるとか。
それを深夜にやろうとして、コアな人たちが10人20人来てくれるんだけど、集客的に厳しいなってなった記憶があります。今だにそのタイトル(iconostasis)は変えずに自主企画は続けてるんですけど。
 
前田
その感覚、すごくわかります。
実は、スタジオでそのままライブしちゃうみたいなのが、東京のハードコアとかパンク、エモのバンドって前から多いんです。僕はそこに強い影響を受けてきてて。コミュニティもすごいちっちゃい中で、見に来るお客さんもみんなバンドマンとか。そういう、全然垣根のない状態で、スタジオの中でくしゃくしゃでライブしてる状態みたいなのに、すごい憧れて、ANORAK!を始めたので。
 
岸岡

あと僕はCONDOMINIMUM (コンドミニマム)の影響もあると思います。

CONDOMINIMUM

石川
CONDOMINIMUMって?

秋山

DYGLのメンバーがいた明治学院大学のサークル「現代音楽研究会」に、CEMETERYっていう名義でDJをやってるコウタって友達がいて。彼が中心になって、仲間内でCONDOMINIMUMっていうD.I.Y.なパーティーをやってたんです。俺らが20前半ぐらいの時。
何年か経って、「あの時のCONDOMINIMUM遊びに行きました」みたいなことを言ってくれる人が結構いて。その時はただ夢中にパーティーやろう、みたいなノリだったけど。それが他の人にどう伝わっていたのかは正直長いことわからなかった。けどいざやってみるとちゃんと後々拾ってくれる人がいるんだなって、最近になって答え合わせできているのは、結構驚きですね。みんなで遊びながら何かを産めていたんだなと思うと、素直に嬉しいです。

CEMETERY - HOAHTW

岸岡

CONDOMINIMUMを見に行ったときの感覚として、自分がその場に参加してる、自分の行動次第では演じられてるものが変わってくるぞ、っていう緊張感があって。それがあるとやっぱ楽しいなって。それを生むのに、地続きでやってるっていうのは個人的には結構重要ですね。


-ここ行ったら面白いことありそう、そんな場所について。

岸岡

それに当時は、BASEMENTBARとTHREEで、菅波さんっていう人がBlock Partyっていう面白いイベントを定期的にやってた。
 
秋山

確かに、ここ行ったら面白いことありそうみたいなのって、あのとき特に強かった感じがあるもんね。好きなバンドがいるから見に行くっていうのと、ここ行ったら楽しそうだからって行って偶然新しいバンドに出会うっていうのはニュアンスが違う。
どっちも全然いいと思うんだけど、新しい音との出会いが多い方がワクワク感が増える感じがするから、そういう場所があるのはほんといいことですよね。
 
前田

僕も当時、SENSELESS RECORDSっていう八王子のレコード屋さんによく遊びに行ったりして情報をもらったり、その近くのスタジオライブに遊びに行ってたりとかしてたので、そうやってコミュニティが広がっていくのは大切だと思う。
 
SENSELESS RECORDS

石川

そもそもこのマガジンも、Strip Jointっていうバンドがあって、その周りにいる人たちがシームレスに関わって出たり入ったりする共同体があったらいいよねみたいな思惑があって。イメージはさっき話したフロアライブにすごく近いんです。マガジンがもっと大きくなれば、それだけで企画とかできたら楽しい。
 
岸岡

でも結局俺は寂しがりだから、自分の話を聞いてくれる人周りにいると嬉しいっていうだけでもあるんですよね。
 
秋山

めちゃくちゃわかる。同じです(笑)。
 
岸岡

格好つけて場所を作ったり何かを掲げてみたいなのをしてたとしても、本音としてはただ色々と話したり何かしたりする機会があると嬉しいというだけで(笑)。


-月並みな話かもしれないけど、東京で音楽をするということについて。

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