「快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか」(DJリンデン著 岩坂彰)

 僕は気持ちいいことが大好きです。これには異論の余地がありません。

 気持ちいいことをするたびに、「ああこれは気持ちいいな」と確認するようなタイミングがあります。この確認から派生して「なんで気持ちいいんだろう?」という疑問が生まれます。

 潜在意識にこの疑問があったのか、ブックオフでこの本を手に取ったとき、迷わずレジに持っていってたみたいです。家に帰って何日か経って全てを忘れて、(あの本面白そうだったな)と思い、再びブックオフに行き、(売れてるわ、面白そうだったしな)と肩を落とし、家の本棚を見たら置いてありました。

 この本は、薬やエッチや食事やギャンブルといった気持ちいい、ハマりやすいものについて、これらをしているときに脳で何が起こってるのかを説明している本です。結構理系チックで、「こういう実験をして、こういう結果になって、こういう解釈ができる」って流れで話が進んでいきます。途中途中に小粋なジョークも挟まれているので、文系の方にも安心です。


 ちょっとだけ内容にも触れてみますが、この下に書いた内容が本と正確に合ってるかどうか分かりません。(僕はアホなので)
是非この本を買って確かめてください。

主に2つのことが書かれてました。
 一つは「色んな気持ちよさがあっても、脳内で快感を感じるとこは一緒」という主張です。先ほど書いた薬やエッチや食事やギャンブルにおいて快感を感じる際に脳みそをスキャンすると、すべてにおいて内側前脳回路という脳の回路が活性化してるそうです。(あれです。ドーパミンも出てます)この内側前脳回路という脳の回路が脳みその色んな部分とつながっており、色んな体験を通じてこの回路を活性化させてるようにできてるんですって。よくできてますね。

 もう一つは「依存症のメカニズムについて」です。例えば、まず最初に薬物による気持ちよさを脳が受け取ると、脳の神経において「今のは気持ちよかったぞ」と記憶されるそうです。しばらく薬物を続けると脳の別の場所で「ちょっと気持ちよくなりすぎてるな...」と薬物への耐性をつける働きをしてしまいます。すると人や脳は「あの気持ちよさに足りないなあ」とどんどん薬を使うようになります。ここでちょっとまずいと思って少し我慢をすると、薬物を覚えた神経が「あの気持ちいいのくれよ」と薬物への渇望が強めてきます。(ここで、少量の薬物でも気持ちよくなるように刺激に対して敏感になるそうです)そして薬物を再開すると最初の一回はめっちゃ気持ちいいのですが、また耐性がついてきて薬物を使いまくるようになる。これの繰り返しになって依存症が進行していくんですって。よくできてますね。

 著者は神経科学者だそうで、脳の働きに関する一般市民向けの本を熱心に書いてくれる人なのですが、よりよい理解のためにはやはりたくさんの専門知識を要するみたいで、ホルモンとかDNAとかの名前が大粒の雨くらい降りかかってきます。当然びしょ濡れになるのですが、説明は論理的で一本筋に話が進んでいくので、大きな部分はあまり間違えず理解できたのではないかと僕は慢心しています。

 全ての経験は快感に通ず、とでも言いかねないほどに快感を感じる回路が日常生活に影響を及ぼすことをこの本で知りました。こうなると、近年「やりがい搾取」なんていって不当な労働みたいなものをdisる風潮がありますが、人間がそもそも快感回路(報酬系ともいうそうです)で生きてるんだったら、広い意味でやりがいは大事なんじゃないか?とか思いました。

「いや、あれはそういう話じゃないから」「論点すり替えんな」「バカは黙ってて」「そもそもやりがい搾取じゃ快感回路は活性化しないだろ」とかマジレスするときにも快感回路が活性化してるんでしょう。マジレスって気持ちいいですし。

やっぱりnoteを書くのも気持ちいいっすわ~

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