「スタディーズ 密教」(勝又俊教著)

司馬遼太郎の歴史小説って読んだことなかったんですよね。「竜馬がゆく」とか「坂の上の雲」とか有名な本は多々あるんですけど、巻数あるし敬遠してました。

そんな中で一念発起して読んだのが「空海の風景」って本でした。なんか通っぽくないですか?通っぽいのは魅力なんです。

その本自体はまぁまぁ面白いかな?くらいのびっくりするほど失礼な評価しかできないんですが、密教や空海への興味がすこぶる高まる本でした。密教もまぁまぁ面白いかな?ってなったのでどんな考え方をしている宗教なのか知りたくなりました。

ブックオフで「密教入門」みたいな初心者向けの本無いかと探したんですが、だいぶニッチな需要だったみたいで全然見つけられませんでした。(密教で難病を治した例、みたいなのを紹介している本はありました)

結局本屋へ赴き、新品の「スタディーズ 密教」を買いました。なんと2000円+税。仏教ってこういうところありますよね。容赦ない。

密教の本といってブックオフに並んでる本は、密教の仏像や修行の紹介本であったり、前述したスーパーご利益紹介本や高野山ツアーガイドみたいな本だったりと、宗教観(思想?)を具体的に説明した本がありませんでした。その点この本は空海の紹介や、密教の歴史、思想、世界観などなどが記載されており、何も知らないところから密教を知るには最適な本だと思いました。2000円+税が最適かどうかは判断しかねますけど。

せっかくだし僕が一回読んで分かった気になってる分だけ概要を説明したいんですが、色々書いてあったんでざっくりいうのがすごく難しいです。語弊を招きまくるかもしれないんですが、密教というのは仏教の一種で、「ちゃんとやればだれでもすぐに成仏できるし、悪いことを遠ざけて良いことがあるよ」という思想の宗教らしいです。

別の仏教だと悟るのって、できない・難しいとされていることもあるそうなんですが、密教はちゃんとやろうと思えば生きたまま誰でも悟れるみたいです。十善戒とか四恩、四摂っていう戒めやら行いをちゃんとクリアすると仏のメンタリティが得られて、仏を体や口で表現しつつ、仏ムーブをすると、仏と一体化できるんですって。すごいな。

仏ってのは天国(極楽?)にのみ存在してるわけでなくて、世界中の色んなものや言葉や人の心に宿ってるんですって。全ての人の心にも仏が宿ってるので、それを自覚することが仏に成る一番の近道なんだそうです。

注目すべきは密教の、世界のとらえ方ですかね。そもそも仏って元は大日如来って仏で、それが色んな仏に姿を変えてるらしいです。釈迦も大日如来の一形態だそうで。あとご利益がある毘沙門天とか弁財天とか天がつくものも仏の一形態だとか。たくさんありまして、拝むのに不便です。まとめて表現したい。

そこで、仏をフォーメーションに落とし込んだのが大曼荼羅といって、大日如来を大きく描いて、周りに諸仏を配置してる図にしています。フォーメーションなので場所にも意味があって、関係性の強い仏がまとまって配置されています。諸仏は目的をもって大日如来が変身してるので、その目的が近い仏たちがかたまってるんでしょうね。

大曼荼羅がイメージしやすい仏の表現方法で、これ以外の表現方法として、三昧耶曼荼羅、法曼荼羅、羯磨曼荼羅といって、仏を意味する道具や文字や活動があるそうです。「この道具はなになに仏を表して...この文字はなになに如来を...この活動は...」という感じでしょうか。

ここまでくると何でもありなんじゃないかと解釈が拡大していって、あれって仏を表現してね?ここ仏っぽい、などと世界に仏を見出せますし、俺の心仏だわ...と実感することもできるでしょう。

でもこんなのは主観でしか体得できない、自分の中の秘密みたいなものなので、秘密仏教、略して密教ってことですかね?ちょっと無理やりすぎますか?

あと仏のメンタリティ?菩提心というそうですが、その会得(自覚?)には十善戒を守るのが大事っぽいです。(もっと根源的に菩提心戒やら帰依三宝やら心得るべきものがあるのですが、よくわかんなかったです)

生き物を殺さない。人のものを取らない。男女の淫らな関係をしない。うそを言わない。たわ言を言わない。悪口を言わない。二枚舌をつかわない。貪り惜しまない。怒る心を起こさない。間違った/愚かな考え方をしない。の十個の戒めです。

ざっと数えて僕は、7個破ってました。このnote内でも3個くらい破ってるんじゃないでしょうか。いますぐの成仏はちょっと厳しそうですね。(ちゃんと密教の方法で成仏したい人はちゃんと仏門を叩いたほうがいいそうです。菩提心戒でそういうこと言ってるみたい)

密教でここまで適当かけるのもこの本のおかげです。分かりやすく書いてるので。僕が支払ったあの2000円+税もじつは仏の化身だったのかもしれません。

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