「思考中毒になる!」(斉藤孝著)

もしこのまま自分の人生が続くとすれば、恐らく独り身、安いアパートの一室、太陽の届かない部屋に切れかけの電球、PCがあれば上出来、という老後を迎えると予測されましてですね。

その孤独に耐えうるには、認知症になるか、深い思考の海に沈潜するかの2択だろうと踏んでおりましてですね。

そんな中ブックオフで見つけたこの本が魅力的に映りました。著者は斉藤孝大先生(皮肉)で、初版が2020年の7月末と比較的新しい本なのではと考えます。

そんな本がなぜブックオフに並べてあるのでしょうか?

こういった疑問を疎かにせず、思考する習慣をつけろとかの大先生はおっしゃられてました。

俺こいつ嫌ーい!

前も「質問力」という本を読みました。個人的には参考になる良いこと言ってました。

上記のような感想をもつとその本を思考を働かせながら読んだとは言えないそうですよ?今回読んだ本によると。それはそれは悪うござんした。失礼いたしやした。へへぇ。

確かに思考は自分の価値観からしたら非常に憧れつつもモノにしたくなるワードで間違いなく、それがこの本を購入した理由なのですが、著者の天狗の鼻をずぅっと読者の頬に押し付けているような高慢な文章は何とかならないんでしょうか?(クレーム)

「こういうことが重要です」→「私は昔から~をやっててぇ~」みたいな流れが目立ちます。いや、こんな流ればっかなのでもはや目立ちません。

せっかく本まで出すのだから著者自身の経験談をふんだんに織り込んでいただいて構わないのですが、なんかね。成功体験ばっかし喋っちゃってさ。一つだけ失敗談話してたけど、「それからは~に気を付けるようになりました」みたいにすぐフォローしてさ。プライド感じますね。さすが東大卒。よっ、この思考中毒!

プライドは置いといても、「思考力大事」「思考力はこの先必要」「思考力がないとダメ」「こんな思考力がない奴がいる」「こんなやつは思考力がない」って文章がたぁっぷり入っててげんなりしました。分かった。分かったから、ってなったらやっぱり思考が足りないんですか?なぁおい。

個人的には良いことも言ってると思っていて、「思考の記録をつける」とか「すべてを『自分ごと』にする」とか「負荷をかけると考えるようになる」とか?目次から抜粋しました。それらの主張を裏付ける理屈はシンプルで、秒で思いつきそうな「~だから」という理由付けと主張を踏まえた成功者(著者を含む)のサンプルのセットです。サイズはSかな。内容知りたいなら目次読めば基本オッケーです。洗練された良い著作~!

プレッシャーが優れたアイデアを生み出すそうで、制限時間1分を設けて学生にアイデアを出させる前に、「もし答えが出せなかったら就職面接なら2次面接に進めません」とか言ってプレッシャーをかけるそうです。

斎藤は明治大学で教鞭をとってらっしゃるそうで、この本を読んだ自分は明治大学の学生を尊敬するようになりました。孝がそんなデリカ̪シーのない発言をすることができるのは明治大学の学生たちが温厚で忍耐強く、先生を殺そうという発想が生まれないためです。この聡明な先生は自分が殺されないと思ってるからこんな指導をしてるんじゃないでしょうか?

自分はこの本を読んでいる間、著者を10回以上ぶん殴ってやろうかと思いました。1回実際に本を殴ったのは、「著者が講演した後に受講者に講演内容をテーマとしたコントをさせたところ、勇気を出して名乗り出た男女二人組が行ったコントをみて涙が出るほど笑った」というエピソードを読んだときです。

普通に無茶ぶりは失礼だと思いました。「講演内容を当事者意識をもって理解させる」だの「こういうプレッシャーのかかる危機的状況において思考はスピーディーに行われる」だの理屈があるそうですけど。

涙が出るほど笑ったのは、二人組の作ったコントが面白かったことに加え、「著者のセオリーにあてはまったから優れたコントを作れたにちがいない」という認識から生まれた快感が著者の感情を増幅させたためです。

もしこの講演の時に男女二人組が名乗り出なかったときには、「誰も出てきませんでした」からの「誰も講演に積極的に参加してくれなかった」からの「思考力が足りない」みたいな印象をこいつは抱くのでしょう。彼奴(きゃつ)の研ぎ澄まされた理屈には一部の隙も無いそうで、その理屈に反した行動全てを思考の至らなさを露呈する弱点と考えています。

著者は思考して練り上げた理(ことわり)に絶対の自信をお持ちでいらっしゃる。これは良いことです。この本の良いところとして「思考は大事」→「どうすれば思考するようになる?」→「どうすればよりよい思考ができる?」→「どうすれば思考の能率があがる?」→「思考をどう役立たせる?」というステップのようなよくできた構成で、読み終わるとすぐ思考できそうな気がしてくる点が挙げられます。これはよく考えてからこの本を書いたからなんじゃないですか?さすが教育者。自信をもって当然の経歴や実績、おまけにこの本!お見事!

ただ自信家な教育者って自分はムカつきます。教育者たるもの心を鬼にして生徒を厳しく指導することもあるでしょうが、自信満々にそれをやられたらどうですか?自分ならグレます。卒業直前に一発殴って、それで勘弁してやります。

現に「思考中毒~」を読んで実践した「思考を書き留める」習慣で最初に考えたのは「どうすれば斉藤孝を有効に苦しめるか?」でした。

ちょっと検討したのですが、「1枚20kgのトランプを使ったタワーを斉藤孝の仕事仲間と作らせる」と「小学6年生の柔軟な発想で斉藤崇を侮辱する」の2つのアイデアが出ました。まだまだ少ないですね。初めてならこんなものでしょう。このくらいで勘弁してやります。

思考することにおいて最も重要なことは、なんといっても楽しむことだそうです。

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