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種子の探究

まずはモモのタネを確保

通りに面した、自宅の外壁で桃をそだてるプロジェクト、、

どうせやるなら、食べて美味しかったドーナツ・ピーチの種子を集めて、そっから育ててみることにしました。ということで、まずは蟠桃を買って食べなければ、、
でも、その辺じゃ売ってないんですね。ネット検索の出番です。

高級だ、、
でも、タネがなければ何も始まらない。なにより、食べて美味しいヤツじゃなきゃ、育てても美味しい実がなる保証がない。
思い切って、何ヶ所かの蟠桃をお取り寄せしました。
全部、美味しかったです。もちろん、タネは大切に確保。
するつもりが、家族が食べたやつは、そのままゴミ箱行きとなってたらしく、救出できず、、

タネは、かなりコンパクトサイズ

PITとSEED

モモやサクラなど、春先に綺麗な花を咲かせる果樹は、実はバラ科なんですね。その中でも食べられる実がつく種類は、Stone Fruits(核果類)と呼ばれるのです。種が石のように硬い殻に守られてるので、Stone Fruits。
農水省の分類資料があったので、ご参考リンクを貼っておきます。

https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_sassin/group/pdf/2710_3_bunrui.pdf

食べると出てくるタネを、まずはある程度綺麗に洗って、日陰で風通しがいいところで、数日間、乾かしておきます。間違って捨てられないよう、でも、風通し良くてカビたりしないよう、場所選びに注意が必要です。

見慣れた桃の種とはちょっとちがう、ハート型

普段目にする、殻に入った状態のタネは、そのまま植えてもいいんですが、どうやら発芽率が下がってしまう模様。また、食べたらすぐ植えれば芽がでる、というわけでもなさそう。まずは、乾いたタネを、ハンマーやクランプなどを使って割って、中身のタネ本体を取り出します。

中を傷つけないよう、殻を割る

外側の殻に入った状態のタネが、英語で言うところのPIT。これを割って出てくるのが、アーモンドみたいなタネ本体、英語ではSEED。

殻を割って、タネ本体を取り出す

実は、アーモンドもStone Fruitsの一つで、外側の実は食べないで、このタネ本体が食用なんですね。アーモンドの花も、サクラみたいに綺麗なんだそうです。
でも、アーモンド以外のタネ本体は、有毒成分が含まれるらしく、食用じゃないとか。漢方薬の原料に使われることも。
杏仁豆腐の原料も、アーモンド系のタネ本体で、身体に良い感じがします。

ほぼサクラ的な、アーモンドの花

Cold Stratification

何億年もの時代を経て、進化してきた桃。硬い殻は、子孫を残すためにタネ本体の生存率を高めるためなんですね。
さらにスゴいのが冬眠能力。冬の厳寒期、下手に発芽しちゃうと、芽が凍って枯れちゃいますので、冬眠して春まで待ちこたえる仕組みがそなわってます。この冬眠能力を理解した上でタネを扱わないと、ちゃんと発芽しない難しさもあるようです。こんな研究まで発見!

ということで、しっかり地中で冬眠した! とタネに実感してもらうことが必要です。乾燥しすぎるとダメなので、少し湿らせたキッチンペーパーにくるんで、Ziplocに密閉して、いざ冷蔵庫へGo!!
できるだけ発芽成功率を高めたいので、Youtubeでしっかり勉強。いろんなやり方があるようですが、スタンダードなのは、、

  • 一晩、タネ本体を水に浸しておく、、生き物なので水分が大事

  • 尖った方=根が出てくる方の茶色い薄皮を取る、、薄皮には発芽抑制する成分が含まれるとか

  • シナモン・パウダーをかけて、カビや腐敗を予防する、、シナモンは天然の抗菌剤らしい

  • すこし湿ったくらいのキッチンペーパーでくるむ、、濡れ過ぎてるとタネが腐る

  • できるだけ、個々のタネは個別にくるむ、、カビや腐敗が広まらないように

  • 密閉する、、乾燥やカビを防ぐため、Ziplocが最適

  • 遮光する、、土に埋まってる真っ暗な環境を再現

これで、2ヶ月間ほど、冷蔵庫でお休みいただきます。ただ、途中でチェックすると、カビが生え始めてたり、腐って柔らかくなってたりするのもありました。ダメなのは、早めに見つけて取り除いておいた方が良さそう。

Germination

冬眠中のタネをときたまチェックすると、発根しはじめてるのが見つかります。そしたら、発芽ステージへ。

ついに目覚めた、モモのタネたち

本来なら、冬をやり過ごして、春の暖かい気候が到来してから芽生えるんでしょうが、冷蔵庫で早めの冬を過ごしたので、11月頃が春先になった感じ。体内時計を狂わしてしまったかも知れません。

根が出てきたら、もう春のコンディションにしてあげて、一気に成長し始めるキッカケを作ります。ここでは、プラコップ、キッチンペーパー、アルミホイル、シナモンパウダーを活用

プラコップの下にキッチンペーパーを1枚敷いたら、上に根の出たタネを置きます。程よくシナモンパウダーを防腐・防カビの目的でふりかけ。上からもう一枚のキッチンペーパーを押し込んで押さえたら、少量の水で湿らせる。

プラコップをアルミホイルで完璧にくるんでしまいましょう。これで、乾燥を防ぎ、遮光します。そしたら、存在は忘れないけど、ジャマにならない、室内のそれなりに暖かい場所に安置。

3日おきくらいにチェックすると、1週間〜10日くらいで、根が長く伸びて、種が二つに割れて、発芽状態に育ちます。ここまできたら、鉢植え。

桃のタネ芸術

硬いモモの種は、中国の伝統芸術の素材としても使われてるんですね。
磨き上げて、いろいろな造形を彫り出す。ペンダントに使われたりするんだそうです。

なるほど! 一番右は蟠桃のタネ

よく知られているように、桃は仙人が不老不死になるために食べる、と言われるくらい、健康、長寿に効くフルーツ。そのタネといえば、生命力の塊りみたいなものですよね。
また、表面の凸凹した造形も、芸術家の創作力を刺激してくれそうです。
研究論文まであるようで、、

つづく、、

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