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医学介入のないお産は命がけ

お産は病気でないという意見をよく聞きますが,以下の事実は知ってほしいと思います.明治初年は妊産婦の十人に1人が死んでいました.それが百人に1人になったのは明治の末です.それ以降は記録がしっかりしていて,1963年に1千人に1人,1989年に1万人に1人、いまは3万人に1人以下になりました.医学介入のないお産は命がけなのです.

江戸時代は「5歳までの幼児の死亡率が20~25%,母親の死亡率も20%を超えていた」のだそうです.この高い死亡率は,もちろん貧しさや非科学的な因習などの影響が大きいですが,衛生や栄養状態などは医学の発達とワンセットのものです.安全なお産は医学が支えているのです.

日本の母体死亡率,新生児死亡率が世界のトップクラスといっても,それでもおこる悲しいことは親にとっても家族にとってもほんとうにつらい体験です.われわれ産科医もそうで,目のまえでおこればもうしわけなく思います.できればそんなことはゼロにしたい.日々そのように思いながら仕事をしています.

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