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早産予防用ペッサリーの話

日本では切迫早産妊婦に長期入院安静とリトドリン持続投与がおこなわれますが,これに医学的エビデンスがないことは有名です.今後は48時間の投与のみで,あとは外来管理になっていくでしょうが,問題は子宮の出口の子宮頚管が短くなったり,すこし開いてきているケースです.

こういった頚管短縮や開大があると,すこしの陣痛で早産になりやすいと信じられていて,仮に子宮収縮がなくても医療側から長期安静入院が強いられることが多い.妊娠20週前後に経腟超音波での頚管長スクリーニングがガイドラインで推奨されていて,無症状での頚管短縮で突然入院となることもあります.

欧米ではこういったケースで早産予防用のDr Arabinペッサリーを使うことあります.ペッサリーによって子宮頚管を保護し早産を予防します.シリコン製のもので,疼痛はそれほどなく挿入できますし,副作用などもまったくありません.妊婦側も医療側も安心して退院,外来管理でみていくことができます.

このようにペッサリーを臨床でうまく使えば,切迫早産での長期安静入院を大幅に減らすことが可能です.切迫早産の妊婦さんのQOLは大きく向上しますし,また結果的にムダな医療費も節約できることになります.ペッサリーの切迫早産への適応拡大を申請中ですので,みなさまの応援をいただければ幸いです.

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