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ニューヨーク派詩人 フランク・オハラについて

フランク・オハラ(1926–1966)はアメリカの詩人.友人でおなじニューヨーク派のジョン・アシュベリーは,長命してのちにアメリカ現代詩を代表する詩人となりますが,オハラは残念ながら40前に亡くなっています.MoMAのキュレーターで,ジャクソン・ポロックなどモダンアートの擁護者でもありました.

日本ではあまり知られていませんが,わたしはどうしてか彼の詩にとても惹きつけられます.20代前半に日本橋丸善でこの詩集を手にいれてから,おりにふれて手にとります.オハラの詩の英語は非常にシンプルで意味がとりやすい.しかし意味がわかるのと詩がわかるのあいだにははるかな懸崖がありますが.

思いついてツイッターでオハラを検索したら,全国にはやはり彼の詩のファンはいるんですね.コツコツと詩を訳して投稿しているひともいます.ネット時代というのはすばらしい.そういった訳された詩をしばらく読んでいましたが,自分が読んだイメージとすこしちがっていたりしていて,これはこれでおもしろい.

この”Lunch Poems”には短めの詩が集められています.オハラはいう.「詩は世界にむかってではなく親しいひとに語るように書くべきだ」.たとえば “poem”と題された詩.

Instant coffee with slightly sour cream
in it, and a phone call to the beyond
which doesn't seem to be coming any nearer.
“Ah daddy, I wanna stay drank many days”
on the poetry of a new friend
my life held precariously in the seeing
hands of others, their and my impossibilities.
Is this love, now that the first love has finally died,
where there were no impossibilities?

サワークリームをいれたインスタントコーヒーと
すこしも近づかない向こう側との電話
「ああパパ,何日でも飲んでいたい」
という新しい友達の詩の一節
わたしの人生は 他人の手で
彼らとのの理解不能のなかでとても不安定だ
はじめての愛がついに死んだいま
この愛はやはり不可能なところのものか?
(試訳)

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